28話.わたくしは悪役令嬢なので慰めるなどしませんわ
悪役令嬢は断頭台で、生まれて初めて微笑んだ(https://ncode.syosetu.com/n8471hb/)、総合評価250pt、本当にありがとうございます!
短めです……
「コーコラン様、何かありました?」
アドラーラブなマリーがそう声をかけてしまうほど、その日のアーノルドは明らかに落ち込んでいた。
たぶんこれは、アーノルドの家の問題についてだろう。確かに2年生の今頃に起こったイベントだから、物語は順調に進んでいるということを改めて実感する。まぁ私にあまり影響は出ないと思うけれど。
本来ここはミサの役目なのだが、ミサはミサで重度のルイスラブなので当てにならない。マリーにさせたらアドラーとの仲が険悪になってしまう。そうなると私しかいないのだ。アーノルドを慰める役が。
ちなみにアドラーとの仲はよそよそしいままだ。なぜアドラーがあんな奇行に走ったのか、私はまだ聞き出せていない。
「コーコランさん」
「…………」
私が話しかけても一向に言葉は返されない。ちょっとどうかと思う。
段々イライラしてきて、私は強引な手段に出ることにした。
「まぁ、メルヴィル公爵家の令嬢である私の言葉に返事をしないなんて、何様ですの?少しこちらに来て下さらない?」
私はそう言い、アーノルドを強引に外に誘い出した。
みんなは驚いた顔をしていたが、仕方のないことだ。私だってできればヒロインとイベントを起こしてほしかったけれど、いつまでも気まずい雰囲気は嫌なんだからやるしかない。アドラーのことを出されると何も言えないが。
「コーコランさん、空気がまずくなるのでそんな暗い雰囲気をまとわないで下さいません?」
私がそう言うとアーノルドは驚いたような顔をして、自分の手のひらを見つめていた。
「……驚いた。正論や綺麗事は言わないんだな」
「だって、そんなこと言われても嬉しくないし、むしろ気に障るでしょう?さっさと元気になってくれた方が早いです」
私は微笑む。そんな私を見て、アーノルドは絶句している。
「……………………なんか、お前を見ていると、俺の悩んでいることが小さく思えるな」
「それはそれは。ありがとうございます?というかさっきから失礼ではありません?わたくしが憎まれ役を買ってあげているのですよ?」
「確かにな。婚約者様が発狂しそうだ」
「……?」
残念ながらアーノルドの言葉の意味はわからなかったが、アドラーは発狂した。まぁアーノルドは元気になったので、無駄ではなかったのだ。たぶん。
「いくらコーコラン侯爵令息が落ち込んでいるからって、ライラがわざわざ言う必要ないだろう!?」
「メルヴィル公爵家の恥だ。なぜわざわざあんな手段に出た!?」
なぜかアイラもお得意の決め台詞を言って発狂した。
マリーはぶつぶつ呪いの言葉らしきものを唱えている。怖い。
「ユルセナイ……ライラサマトフタリキリ……ナグサメ……ワタシモオチコメバヨカッタ……アア……」
相変わらず意味がわからないが、それでも、アドラーに叱られるうちに気まずさはなくなった。ほっとしている自分に気づいて、私は慌てて自分への戒めをかける。
……私は悪役令嬢として断罪されるんだから、この世界にいてはならない存在なんだから、大切なものを作ったら駄目だ。
今更そんなことに気づいても、大切な仲間と織りなす日々の楽しさは、もう誤魔化せなくなってしまった。
お読みいただきありがとうございます。
はい、すみません。さっきまで寝てたので、マジでこれ書くの大変だった……あとなんかしんみりした終わり方。基本おふざけコメディです。うん。
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