表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/58

番外編.アドラー視点 嫉妬

アドラー……このヘタレッ!




「アドラー王子、現地集合ではなかったでしょうか」




 ライラの義兄――アイラが訝しげに言った。何を隠そう、俺は現地集合なのを知っていてわざとライラの屋敷に来ていた。




「……え?あ、あ。そうだった!すみません、間違えたみたいで」




 一応純粋な青年を演じるが、ライラやアイラにはバレているに違いない。


 それでもいいのだ。ライラと、最近ライラに興味と好意を持ち始めているアイラを30分間も馬車の中に閉じ込めるなんて、考えるだけでも嫌になる。






◇◇◇◇◇






「ライラ様!少し遅かったですね――………………………は?」




 ライラを笑顔で迎えたマリーは(ライラ談義で親しくなり、いろいろ面倒なので呼ぶことになった)、俺の存在を見て固まった。




「アドラー様、あとで少しこちらに来てくださいません?」




 その瞳には俺へのメラメラとした嫉妬の炎が燃えていて、俺は思わず後退りする。




「ん?あ、あぁ」








「アドラー様、あれはなんです?なぜライラ様と一緒に来ているのですわたしはまだ義兄様だから許したというのに抜け駆けなんて許せませんわたしだって乗りたかったです誘ってくれたらよかったのに本当にこれだからみかけは俺様のヘタレ独占欲強め王子は」




 いろいろ不敬で、歯に衣着せぬ物言いだが、2人きりだし、この程度ならもう許せる間柄というか、慣れているというか。


 そして、「みかけは俺様のヘタレ独占欲強め王子」が心に刺さる。




「おい、やめてくれ……。『みかけは俺様のヘタレ独占欲強め王子』とか、不敬罪に問われるぞ」




「アドラー様はそんなことしないでしょう?それに、『みかけは俺様のヘタレ独占欲強め王子』に、ダメージが入ってるんですね……。思い当たることがおありで?」




「……」




 俺は黙った。









「まぁ、ライラ様。それはどのような味なのですか?」




 マリーがそう聞く。俺が聞きたかったことを、と恨みがましく睨むと、マリーはいたずら大成功☆とばかりに子供らしく微笑んだ。




「食べてみればわかりますよ」




 なんと、ライラはマリーに自分の弁当のおかずをあげたのだ。それなら俺も、と思ったが、なんとなくマリーの後というのが気に食わなくて、俺は黙る。




「ミサにはこれね」




「ライラ、俺にもくれ」




「……」




 ジャーディン子爵令嬢、メルヴィル公爵令息、コーコラン侯爵令息が次々とライラの弁当のおかずをゲットしている。



 俺が全く口を挟めず、しかも存在を忘れられていることに無性に腹が立って、あることを思いつき、俺はライラの名を呼ぶ。




「ライラ」




「っ」




 つい、独占欲が爆発して、キスをしてしまった。







 …………気持ち悪いと思われていないだろうか。……いや、確実に思われている。


 最近毎日そのことを思い、胃を痛めている。



 会ってもどこかよそよそしいし、不意打ちで話しかけたら顔を赤くしてそそくさと逃げていく。



 ……なんて最低なことをしてしまったんだろう。



 許可もなしに、皆の前で勝手にキスをしてしまったあの時の自分を殴って刻みつけたい。




 ……はぁ。




お読みいただきありがとうございます。俺様とは本当に名ばかりなヘタレ王子様。大丈夫、こんなのシリアスじゃない。普通に仲直りするので大丈夫。


お手数をおかけしますが、広告の下の、評価の方をポチッと押していただけると、本当に嬉しいです。


おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告していただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は断頭台で、生まれて初めて微笑んだ←マリーちゃんの関係者が出てくる短編です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ