番外編.シャーロット視点 不思議な雰囲気の方
はい、シャーロット視点です、予告してなくてすいません。
「侯爵令嬢、シャーロット・ダーヴィン!貴様との婚約を破棄する!」
その日から、私の毎日は変わりました。
婚約者の浮気現場を目撃してしまったあの日から、私自身も変わったと思います。
通りがかった少年を助けたら、隣国の王太子でした。隣国の王太子はなぜか私を気に入り、婚約者にすると言いました。
辛いこともありましたが、隣にいる婚約者のおかげで毎日は楽しいです。
……なんて、こんなこと、前の私だったら「綺麗事」と言って一蹴したでしょうね。
「シャーロット、学園に行っておいで。くれぐれも男には気を付けてね」
「まぁ、ロイは大袈裟すぎます。私を好くなんて、そんな物好きな方はいらっしゃいませんわ」
「大袈裟なわけないだろう?俺が好いた女なんだから」
そう言って年下の婚約者――ロイは私を抱き寄せます。私は、玄関先で抱きしめられたことに恥ずかしくなり、慌ててロイを引きはがしました。
このように、ロイには赤面させられることも多々あります。
◇◇◇◇◇
「今日から二年生ですわね」
そう一人呟きながら私は廊下を歩いていきます。クラス替えは前回の成績で決められるので、こうやって張り紙が出ている場所まで行くのも、なかなかドキドキするものです。
張り紙の前に着くと、既にたくさんの生徒がいて、自分のクラスを確認しています。
Aクラスから順に、私は張り紙に書かれている名前を見ていきます。
Aクラスのところに、「シャーロット・ダーヴィン」と記されているのを見て、私は大きく安堵の息を吐きました。
……Bクラス・Cクラスから、それぞれコーコラン侯爵令息と、ジャーディン子爵令嬢がクラスアップしていますね。お二方ともに、私は密かに会って話してみたいなと思っている人、メルヴィル公爵令嬢、ライラ様の関係者……。これは、これから一年間楽しくなりそうです。
そして、早速教室に行くと、席表がはってあり、なんと、私の席の隣の席には、「ライラ・メルヴィル」と書かれていたのです。
十七度見はしました。
……え?本当ですか?
筆記用具の準備をしながらも、口元がニヤけるのを我慢できません。
ニヤけるのを必死で我慢しながら、頭では反対のことを考えてしまいます。
早く来てくれないでしょうか。
私がそんなことを五分くらい繰り返したとき、やっと――いや充分に早めの時間なのですが――ライラ様が教室に入ってきて、驚いたように私をじっと見つめました。
「メルヴィル様、今日から一年間、よろしくお願いいたしますね」
「はい、もちろんです、ダーヴィンさん」
早速話しかけてみたライラ様の反応は、良くも悪くも、といったところでした。
「あ、そういえば、メルヴィル様の婚約者様って、第三王子のアドラー様でしたよね?仲が良いようで、羨ましいです」
世間話に話題を変え、私はライラ様の言葉を伺います。
これは、世間話をしているようで相手の情報を聞き出すというテクニックです。
「そ、そういうシャー……ダーヴィンさんこそ、第二王子とは上手くいっていますか?」
そのライラ様の言葉に、私は驚きを隠せません。
第二王子であった元婚約者、ジェラードと私が婚約破棄したというのはかなり有名な話です。
「あら、ご存じありませんの?わたくし、ジェラード様に婚約破棄されましたの。隣国に婚約者もいて、幸せなのですよ」
「そ、そうでしたの。アドラー様もわたくしを大切にしてくれて、わたくしも幸せなのですよ」
「ライラ」
「え?」
第三王子のアドラー様がいらっしゃいました。いつも登下校は一緒だと噂の二人ですが、今日は一緒ではなかったみたいです。
初めて話したライラ様は、どこか人を寄せ付ける雰囲気を持った不思議な方で、私にはとても好ましく思えました。
◇◇◇◇◇
「……ということがありましたの」
自宅に帰って、私は婚約者に今日のことを話していました。
「へぇ。メルヴィル公爵家令嬢といえば、前にはひどい噂が流れていた子だよね?ふぅん、面白そうだね」
そう言ったロイの整った顔には、ライラ様への確かな興味の色が浮かんでいます。
私に近づいたのもそのような理由なので、どうしても少し不安になってしまいます。
それが顔に出ていたのか、ロイは私を優しく抱きしめて、私の耳元でそっと囁きました。
「シャーロット、俺が愛してるのはシャーロットだけだから、心配しないで。………………おやすみ」
お読みいただきありがとうございます。
のおおおおぉぉ!キツい!これはキツい。そして超甘い。本編より甘いとは一体。自分で書いてても砂糖吐き出しそうになる。リア充爆発しろ。
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