22話.運が良いのか悪いのか
ああ、書きたかったとこです……(感動) 正確にいうと次話なんですけどね。
そのまま私は、数十m下に真っ逆さまに落ちていった――わけではなく、数m下の、雪がたくさん積もったところに落ちた。怪我はない。あったとしても崖から落とされた時にできた擦り傷くらいだ。
「はぁ……」
私は自分が落とされた崖の方を見る。数m上だ。ジャンプしてつかまって、よじ登ればギリギリ届くかなレベルの距離だったことに、思わず安堵する。
……そう思えば、運が良かったのかもなぁ。今までの悪運に、神様がせめてもの慈悲を!?
う―――ん、どうやって登ろうか。動きやすい服装で来たといってもスカートだし、よじ登るのは令嬢的にアウトだよなぁ。まぁ、誰も見てないっぽいしいっか。この際運動しよっか。時間結構あるし、運動神経確かめてみよ。
そうして私は、ちゃんと生きて戻るために、運動を開始した。
◇◇◇◇◇
「ふぅぅぅ、良かっ……」
……ん?
なんとか登れた。ライラは基本的に万能なので、すぐに登るコツをつかんで登ることが出来た。それはいい。
だが、登ったところにいたのは――先生含む生徒全員だった。
……いやなぜに?よじ登ってくるとこ、ばっちり見られたよ。アレじゃないの、お兄様が言うメルヴィル公爵家の評判に――とか言うやつじゃないの、ヤバい。
と思って青くなっていたら、私の存在に気づいたアドラーが、こっちに近づいてきて――
私を抱きしめた。
もう一度言おう。私をアドラーが抱きしめた。
はああぁぁぁ!?意味わからん!なぜに!?なぜに、アドラーに抱きしめられてるの!?
「っ本当に、心配だった」
「アドラー、様?」
私を痛いくらいに抱きしめて言うアドラーの声は本当に、私を心配したものだった。
「きゃあ―――――――――――――――――――っ!」「本当に良かったです」「落とした人はきっちり処分しておきますから」
後ろで黄色い声とともに温かい声がかけられたのは、きっと私の思い上がりではないはずだ。
お読みいただきありがとうございます。明日はマリー視点の予定です。
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