表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/58

21話.最初の犯罪イベントですよ、皆様

うんうん、やっと話が動いてきた……



 アイラの機嫌が良くなった日から6か月と2週間が経った。転生してから11か月3週間。もうすぐ転生してから1年が経つのだと思うと、少し感慨深い。


 そして、修了式を間近に控えた今日……今日は、林間学習――というか冬なので雪合宿――の日だった。





Q.気分はどうですか?


A.控え目に言って最悪です。





 ……とまあこんな感じで、私の今……というかここ数日の気分は最悪だった。



 理由は簡単、1年生の修了式間近の林間学習と言えば、ライラが初めに罪を犯すイベントがあるからだ。その他にも、マリーとアドラーの雰囲気が物凄くいい感じになったり、マリーが怪我をしたり、マリーの光の属性が発覚したりと新入生入学祝いパーティー以上の忙しさや重要さを誇るイベントである。




 ……はぁ、まあその前にお決まりの今まであったこと、ね。



 さすがにもう、特に何もなかったけれど……なんて言えない状態になってきた。



 お昼ご飯はアイラとミサとアドラーとアーノルドとマリーと一緒。なんでこんなに増えたんだろう。




 ……あ、ちなみにドレスは弁償したよ。お兄様とアーノルドの時に報告しとけば良かったかな。




 登下校はアドラーとなぜかアイラと一緒。本当に意味がわからない。なぜアイラが、私のことを嫌いなはずなのに一緒に来るんだろう。



 ……おかしいでしょ?


 はぁ、まあ今それは正直どうでもいい。



 問題は林間学習で発生するイベントについて、だ。ライラが具体的にどんな罪を犯すかというと、人を――マリーを閉じ込めるのだ。誰も来ないような場所に。……最初にしては処理こなれすぎてません?


 もっと詳しくいうと、取り巻きと一緒に閉じ込めた――わけではなく、2人きりの時に事故を装って前から準備しておいた小屋の中に入れ、鍵をかけたのだ。さすが『世界一最悪な悪役令嬢』。やることが違う。シャーロットでもそんなことしてなかったのに。そしてそこにアドラーが現れる。……そこから先は皆様のご想像にお任せいたします。



 うん、これこそ、「私が何もしなければ起こるわけないイベント」だよね?……けど、私はそれでも心配だ。あの、ワインかけイベントも強制力的なもので発生のだから。



 ……まあ、普通にしとこう。






◇◇◇◇◇






「ライラ、俺の傍を離れるんじゃないぞ?」




 さっきからアドラーが物凄く念を押してくる。たぶん前目を離した隙に私が問題行動をしたからだとは思うが、それでも信用がなさすぎではないだろうか。




「はい、わかっておりますよ」




 閉じ込めるなんてしません、と心の中で呟きながら、私は青い空を見上げる。さすが、林間学習をする場所に選ばれるだけあって、自然が豊かだ。










「アドラー様、わたくしは少し」




 トイレに行きたくなった。さすがに「お花摘みに」なんて言えないので、そう言葉を濁しておく。これでアドラーはわかってくれるだろうか。




「ん?……あ」




 アドラーは何かに思い当たったように小さく呟くと、何事もなかったかのように空を見上げた。


 気遣いの出来るところがいいところだよなぁなんて私は思いながら、足早にトイレに向かった。







 ん?



 どこからか罵声が聞こえてきたような気がして、私は辺りを見回す。




「男爵令嬢ごときがメルヴィル様と仲睦まじくしゃべるなんて厚かましいのよ!」




「ドレスまで作らせて……メルヴィル様が少し汚したからって弁償してもらうなんて醜い根性してるわね!!男爵令嬢には汚れたドレスがお似合いよ!!」




「だいたい名前まで呼んで……恥ずかしいと思わないの!?」




 うわ。ラノベそのまんまで笑ったわ。



 トイレの陰で3人の令嬢がマリーに絡んでいた。トイレの陰て。もうちょっと場所選べよ。


 というかマリーちゃん絡まれてるし。助けないと。



 そう思って私が飛び出そうと思った瞬間、何を思ったか、令嬢の1人がマリーの体をドンッと押した。




「きゃっ!?」




 可愛らしい声でマリーが叫ぶ。


 それを認識した瞬間、私はマリーを庇って代わりに、運悪くちょっとした崖になっていた場所に落ちた。



 浮遊感と達成感が私を襲う。




 私にも人を助けることは出来たんだな、と思いながら崖のところを見上げると、令嬢とマリーが驚いた顔で落ちていく私を見つめていた。




お読みいただきありがとうございます。


あれぇ、明るく・楽しく……


広告の下の、評価の方をポチッと押していただけると、本当に嬉しいです。


おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告していただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は断頭台で、生まれて初めて微笑んだ←マリーちゃんの関係者が出てくる短編です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ