19話.おとしゅじのメガネくん、性格変わってないです?
今回の裏タイトルは、「フラグを立ててすぐ回収してしまう私」だったり……
入学式から5か月と1週間が経った。新入生入学祝いパーティーからちょうど5か月。
この間、特に何もなかった……と言えば嘘になる。
アドラーと毎朝一緒の登下校、マリーの挨拶に加えて、アドラーとマリーとミサと一緒のお昼ご飯タイム。ミサがマリーに私の屋敷行ったことを話せば、なぜかマリー、そしてアドラーまで怒り、「「わたし(俺)も行きます(行く)!」」と言い出す始末。
……うん、これでもアーノルドや第一王子に会わなかっただけまだマシじゃない?第一王子は二年生だから、ほぼ会う機会もないんだけどね。
◇◇◇◇◇
「「わっ!?」」
私は休み時間、廊下を歩いていると曲がり角で男子生徒とぶつかりそうになった。(テンプレか!)
「すまない、急いでいたんだ」
そうイケメンな声で言った男子生徒に、微かな既視感を覚えて俯いていた顔を上げると、そこにはアーノルドのような顔をしたイケメンがいた。
「あ、あの、コーコラン家のご子息に似ているとよく言われませんか……?」
……うん、認めよう、この時の私は現実逃避していたと。
私がそう言うとアーノルドに似たイケメンは、
「……え?……あぁ、ははっ、そうだな、確かに似ているな。俺、本人だから」
さわやかな笑顔でそう言ってのけた。
一瞬不思議そうな顔をしていたアーノルドに似たイケメン……いや、もう認めよう、アーノルドは、笑って事実であってほしくなかった事実を告げた。
……ですよね。わかってましたよ、ええ。認めたくなかったんだよ。
「そう言うお前は……メルヴィル公爵家のご令嬢じゃないか。これからよろしく」
「よ、よろしくお願いしますね」
そうまたさわやかな笑顔で言われ(こんなキャラだったっけ?)、握手を強要された(本当にこんなキャラだったっけ?)。俺様キャラ多いなと思った。
……クラスが違うからよろしくする機会なんてないと思うんだけど。もしかしてアーノルドもあの謎の輪の中に加わるの?
私のこの予想は、後日当たることになると、この時の私は知らない。
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