番外編.ミサ視点 公爵家へのお招きとメルヴィル様と推し談義(1)
(3)までいく……かも?
「ミ、ミサっ!大変よっ!メ、」
「メ?」
「メルヴィル公爵家からお屋敷への招待状が届いたわ!」
「は?」
「ミサ、何かしたのっ!?またいつもみたいな調子でメルヴィル様の前で無礼な発言をしたんじゃないんでしょうね!?ま、まさか、メルヴィル様の婚約者様にアプローチしたの!?もうジャーディン子爵家は終わりだわ!」
「まぁまぁお母様、落ち着いて。そもそもメルヴィル様はAクラスだよ?私みたいな子爵令嬢でCクラスという位置にいる私と関わるはずないじゃん。あと、メルヴィル様の婚約者様は第三王子だよ?私の想い人は一生ルイス様なんだから、他の男にアプローチするはずないじゃんか……我が家は終わりだなんてそんな大げさな……たかが招待状でしょ?」
「はぁ、全く。相変わらずね、ミサ。まずはその言葉使いをなんとかしなさい。あとその落ち着き……羨ましいくらいだわ」
さっきまでの慌てぶりが嘘みたいに、落ち着きを取り戻したお母様が言う。
……そんなこと言われてもね、私のこの性格と言葉使いは元からのものなんだよ。
私は29歳まで日本という国で生きた記憶がある。こんなことを言っても信じてもらえないことはわかっているが、本当のことである。その、日本のド田舎で過ごして(マイペースな性格や言葉使いはこのせいである)、青春も何もあったものじゃないくらい周りに自然しかない環境で育った。そしてハマったのが乙女ゲームや本。つまり二次元だった。男に免疫のないまま二次元の世界に入れば、そりゃあのめり込んで、推しをつくるに決まっている。
そして、その推しがルイス様。私が好きだった乙女ゲームの登場人物で、ワンコ系美少年で後輩男子な私の一番の推し様。彼は伯爵令息なので、身分差はあるが、今はそんなことに構わずアタックしている。だいぶ態度が和らいできた気がするのは、私の思い上がりだろうか。
……とまぁ、話は逸れたが、公爵家へのお招き。どういうことなのだろうか。
メルヴィル公爵家のご令嬢といえば、あの見るからに悪役令嬢っぽい人だ。目元が鋭い、金髪紅眼の美人だったはずだ。昨日のパーティーでは、ずいぶんと目立っていた。そんな令嬢からお屋敷へのお招きとなれば……しかも全く面識がないとなれば、焦るのも無理はないかもしれない。
今日の放課後という話だが、一体どんな試練が待ち受けているのか……ちょっとだけ楽しみだなぁ。
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