2話.ライラ、ですか
ライラの説明です。まだ他に誰も出てきません。
えっと……私、死んだの?
死んだんだよね?転生してるってことは。黄金の髪なんて、生まれも育ちも言動も生粋の日本人だった私が持っているはずないもんね~、あはは~。……私が今置かれている状況は、冗談とか、『あはは~』とかですませられる状況ではない。
ちょっと、これ、どうするよ?
よし、状況を整理しよう。
まず、私の死因。うーん、えっと……最後の記憶は……。
赤信号なのに横断歩道わたってる。はいこれ確定。ちょっと、何やってんの!?そりゃ死ぬよ!!普段から運悪かったんだから!ちょっとは学習しなよ!それにしても、2つ目の悪役令嬢ものによくある、死因は子供をかばって引かれたから……とかじゃなくて、完全に自業自得だった。はぁ……。
次に、私の転生先。
これ、問題よ。というか……もう、ほぼ答えは出てるんだけど……。
私がここで目を覚ました時、私の顔を覗き込んでいたイケメンの顔。……あれは、なぁ。どこをどう見ても……アラサー時代に特にはまっていた愛読書の1つ、『この本の悪役令嬢の末路が、地味にひどいです。』の世界に出てくる悪役令嬢のお兄様としか……。お兄様が出てきて、黄金の髪を持っているっていうことは……私、『この本の悪役令嬢の末路が、地味にひどいです。』の悪役令嬢、ライラに転生したのでは……うん、間違いなくそうだ。……………………終わった。
果たして、現実で悪役令嬢に転生して、本みたいにバッドエンドを回避できるのだろうか。
うーん、なんせ、私、『運の悪すぎるアラサー女』だからなぁ。アラサー時代の仕事先でのあだ名を思い出す。
うん、それにしても私の愛読書の題名、長いなぁ。略そっか。『あくまつ』とか?我ながらネーミングセンスないと思うけど、まあいっか。
ライラ……どんな子だっけ?うん、黄金の髪とたてまきロール、つりあがった深紅の色の瞳が印象的な美人だったはず。私の瞳、紅色かぁ。日本人にとって、黒以外の色の瞳って憧れだからかな。ちょっと嬉しい。
あと、すっごいナイスバディ。出るとこは出て、引っ込むとこは引っ込んでる。まあ、原作でも胸で男の子誘惑してたし。悪役令嬢ってだいたいそうだけど。
性格は、控えめに言って最悪。
ドレスにワインをかけたり、ドレスを破ったり(素手で)、教科書を燃やしたり、学校の二階の窓から突き落したり、熱々のシチューをかけたととにかくいろいろする、それはまあ度胸のある、ある意味すごい公爵令嬢だ。特に素手でドレス破くとかどこの武闘派令嬢?
……ライラのキャッチコピーが『世界一最悪な悪役令嬢』だったもん。
けれど、昔……ライラが10歳の時までは、活発で、素直なかなりいい子だったとか。5年後には、世界一最悪な悪役令嬢に成長するわけだけど。
そして、最後が一番重要。末路。いや、題名が『この本の悪役令嬢の末路が、地味にひどいです。』だからなぁ。
どんなのだっけ?えっと……あ、そうそう、敵国の裕福な平民(老人で、ドSの変態の!)に売られて体も心も穢されるんだった。え、普通にいやだよ?最悪じゃん。処刑ルートの方がまだマシだったのでは……。
よし、なんとしてでも破滅フラグを回避しなければ。
はぁ、どうやら私の転生先は、破滅後に敵国に売られて心身ともに穢される悪役令嬢、ライラだったようです。
お読みいただきありがとうございます。
改行は、わりと適当だったり……。
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