12話.え、そんな話あったね、覚えてなかっ……はあぁぁ!?
ストック完全になくなったので毎日更新も厳しいかもです……。
バルコニーに移動すると、マリーが私の方を振り返った。
「メルヴィル様、ドレスの件については、本当にありがとうございます。別にわたくしは弁償などしていただかなくても良いのですが、メルヴィル様がどうしてもと言われるのなら断る権利はございませんし。それに、謝っていただいて本当に嬉しかったです」
あぁ、さすがヒロイン!ありがとうございます!聖女様っ!
「いいえ、わたくしがしてしまったことですもの。謝ることなど当然ですわ。詳しい日程はまた後日ということで」
「メルヴィル様……」
マリーから尊敬のような眼差しが見えるような気がするが、きっと気のせいに違いない。
……気のせいだったらいいな。むしろ尊敬するのはこっちだし。
「メルヴィル様、お話の続きなのですけれど……」
そうマリーに聖母のような笑みを浮かべられて言われては、私は何も出来なかった。
「はい、何でしょうか?」
「まず、入学式の時に、王太子殿下と5分ほどしゃべったらわたくしの言うことを何でも聞いて下さる、とおっしゃってくださったでしょう?厚かましいことこの上ないと存じておりますが、そのうえで、わたくしの言うことを聞いてほしいのです」
そういや、そんな約束したよぉぉ!!完っ全に忘れてた!え、どうしよ?アドラー様との関係の取り持ち?アドラー様との婚約破棄?2度と関わるな的なアレ?もう碌なもの思いつかないよ、まぁ、マリーちゃんなら、そんな鬼畜なことは言わない……よね?関係の取り持ちなら喜んでするけど、他はちょっとなぁ。今婚約破棄したところで、穏便には済ませないと思うし。
「あ、あ、あああ、あの、ライラ・メルヴィル様っ!わたくしとお友達になってもらえませんかっ!?あ、あと、名前で呼んでほしいですっ!」
よりにもよって我らがヒロインマリー様は、数ある選択肢の中からとんでもないものを選んできた。しかも名前呼び。そういうことはアドラー様とやってほしい。私とやるもんじゃないよ?
前言撤回。鬼畜なことでしたよ。純粋無垢って、天然って怖いね。
え?お友達?いよいよ私も末期だな。みんな今までありがとう。
とはいえ、1度言ってしまったものは撤回できない。たとえそれで自分が逝ってしまうとしても。
「は、はい、かしこまりました、今日からお友達ですね、よろしくお願いいたします、マ、マリーさん?」
「ほわわあぁぁぁぁ……『さん』づけはいらないです。こちらこそ、よろしくお願いいたします、ライラ様?」
いや、貴女は「様」なのね?まぁいいけれども。身分的にも、そのくらいが妥当だろう。たぶん。
まぁ、一応会話がひと段落した。
そして、私が何気なくパーティー会場の方を見ると。
そこには、信じられないものがあった。いや、正しくはいた。
お読みいただきありがとうございます。
広告の下の、評価の方をポチッと押していただけると、本当に嬉しいです。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告していただけると幸いです。




