11話.『あら、ごめんなさい。手が滑ってしまったの』
悪役令嬢は断頭台で、生まれて初めて微笑んだ(https://ncode.syosetu.com/n8471hb/)が先日、200ptを達成(?)しました。めちゃくちゃ嬉しいです。本当に、読んでくださった皆様には感謝申し上げます。
やっと伏線回収です……。長かった……。あと、今回で2万字達成です!
「ライラ、これ旨いぞ」
「あら、アドラー様、ありがとうございます。……まぁ!これはまた……美味しいですね!!」
「そうだろう?うちの宮廷料理人だ。あとで感想を伝えておく」
会食になっても、特に何も起きなかった。なぜかアドラーが私にぴったりくっついているような気もしなくはないが、特に何もないことに分類されるだろう。
まぁ、私が何もしてないのに、何か起こったらちょっと怖いけどね?
「ライラ、俺はちょっと席を外すが、くれぐれも注意しろよ」
何に?何に注意しろと?わからん。
「はい、わかりました。注意しますね」
何に注意するかはわからないが、とりあえずそう返事をすると、アドラーは少し満足したような顔でどこかに出て行った。
◇◇◇◇◇
「メルヴィル公爵令嬢。ぜひ、僕としゃべりませんか」
「いや、僕と」
「メルヴィル様、わたくしとおしゃべりしませんこと?」
はぁ……。
アドラーがいなくなって早3分。いきなり私はたくさんの男女につかまっていた。「わたくしはアドラー様の婚約者なので」全てこの言葉で受け流してきたが、さすがに限界だ。ワイン(もちろんノンアルコールだよ?)が入ったグラスを持って、ずっと愛想笑いしているのも疲れてきた。
そして、私は、その人混みの中で身動きを取ろうとした瞬間、何もないところで躓いた。
そして、私の手には今現在進行形でワイングラスがあり――まぁ、簡単にいうと、中のワインがこぼれた。こぼれたまでは、まだいいのだ。こぼれて、そして――
たまたま近くにいたマリー・スコット男爵令嬢に、かかった。
マリーちゃんの真っ白なドレスに、かかった。紫色の、ワインが。
ちょっと待って。
……はああぁぁぁ!?こんなことある!?今この状況だけ見たら完全に私が故意にワインかけてる図だよ!?というかまんまワインかけイベントなんだけど!マリーちゃんホントにごめん!真っ白なドレスを紫色に染めちゃって!
いつの間にか、人が集まって、ざわざわしてきた。
驚いたような顔をしているマリーに私が最初に言ったのは、謝辞の言葉だった。
「本当にごめんなさい!ちょっと躓いて手が滑ってしまったの!そのドレスは弁償するから!」
「へあいや別に大丈夫ですよ弁償なんて結構ですわざとじゃないことは存じておりますし目立ちますし……」
相当焦っていらっしゃる。
「そ、それでも、わたくしの気がおさまらないのです!お願いですから、弁償させてください!」
「ははいわかりました」
「ありがとうございます!」
大騒ぎになったところで、アドラーが用事から帰ってきた。
「……なんだ、騒がしいな。ライラ、何かしたのか?」
「……はい、わたくしが躓いた時に、ワインをこぼしてしまいまして、そのワインが、スコットさんのドレスにかかってしまったのです。弁償するかどうかという話をしていました」
「そうか」
「あ、あのっ!殿下っ!無礼を承知で、発言をお許しいただけないでしょうか!」
マリーが緊張した面持ちでそう言った。
「なんだ」
「あ、あの、メルヴィル様は悪くないのですっ!弁償してくれるとおっしゃってくださいましたし、謝ってくださいました。別に弁償なんていいのです」
「そんなことは、俺にもわかっている。弁償については、女性同士で話し合った方がいいだろう。バルコニーで話し合ってきてはどうだ?」
はああああぁぁ!?ちょっと待って、アドラー様が信じられないほど大きな爆弾を投下してきたんですけど!?ヒロインと悪役令嬢が二人きり!?やっぱ私って運悪いわ。
そんな私の気持ちとは正反対な晴れやかな声を笑顔で、マリーは言った。
「わぁぁ、ありがとうございます!嬉しいです。……ね、メルヴィル様?」
そう言われると反論できない。そもそも私が粗相をした訳で、弁償もすると言ったのだ。ぐうの音もでない。
「は、はい、もちろんですわ」
「では、行きましょう?」
私はそう笑顔で言ったマリーにそのままついて行くことしか出来なかった。
お読みいただきありがとうございます。
おいおいおいおいおいおいおいおいおい。今回は色々もう、ツッコミどころが多すぎて……。まずアドラー。お前はなぜ公爵令嬢と男爵令嬢を二人きりにさせた?次にマリー。お前、ちょっとは身分差をわきまえた方がいいんじゃないの?消されるよ?そしてライラ、運悪すぎな。
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