1話.私、悪役令嬢に転生したみたいです
新連載です。よろしくお願いします。
皆様は、『あら、ごめんなさい。手が滑ってしまったわ』という台詞をご存知だろうか?
本を読む方ならほとんどは知っている、かの有名なこの台詞。
本や漫画、アニメ、ゲームの中の悪役令嬢もしくはクラスの女王様が主人公に水やジュースをかけて言う、嫌味や皮肉たっぷりなこの台詞は、本当にお約束である。あと、絶対にわざとだ。絶対にわざとだと、現実でこんなシチュエーションが起きるわけないと、私は思っていた。思っていたのだけれど……。
「本当にごめんなさい!手が滑ってしまったの!」
私はなぜ、今、その台詞を言っているんだろう?
◇◇◇◇◇
私……美里さつきは、生まれつき運が悪かった。
何をしていてもいつもあとちょっとのところ失敗する私。
もうすぐ完成する資料をなくしたり転んで汚すことなんてしょっちゅうで、なかには初恋の男の子に勇気を出して告白したら当時の大の親友が1日前にその男の子に告白していて、両想いになっていたということもあった。おかしくない?呪われてたの?前世、とんでもない悪人だった?
何度も挫けそうになった。
なにで私、メンタル保ってたんだろ……。
そうだ。確か、アラサーになる少し前くらいから、ライトノベルにはまりはじめたんだった。
主に悪役令嬢もののライトノベル。気休めだった。わりとガチではまって、一気にオタクと化した。
悪役令嬢もののライトノベルには大きく分けて2種類あり、私はどちらも好きだった。
1つ目は、悪役令嬢ものというか、悪役令嬢が主人公をいじめてくるタイプ。まあ、ごく普通のライトノベル。悪役令嬢はだいたい破滅する。純愛100%の、ざまぁがちょっと楽しみになるもの。
2つ目は、主人公が本やゲームの中の悪役令嬢に転生するタイプ。だいたいが破滅フラグしかない悪役令嬢に転生して、あせって、けれど中身の良さで本来の攻略対象を虜にしてしまう。鈍感な主人公の気持ちや周りの人視点の話もこのタイプの悪役令嬢ものの醍醐味である。
なぜ私がいきなり悪役令嬢ものについてを話しはじめたのかというと。
理由は私の前に広がる光景にある。
私が今寝ている、寝心地の良すぎるふかふかの、アラサーには可愛すぎるデザインのベット。
ベットの天蓋の隙間から覗く、ド派手なシャンデリア。
そして何より、視界に映っているおそらく私のものだと思われる黄金の髪と、私を心配そうに……いや、どこか憂鬱そうに見つめているイケメン。
そこから導き出した答えは……
私、悪役令嬢に転生したみたいです。
最初の始まり……伏線回収には10話(部分)くらいかかる予定です。
お読みいただきありがとうございます。
おかしいところや矛盾しているところ、誤字脱字等あれば報告してもらえると嬉しいです。
追記:伏線回収、10部分?ちが――――――――うっ!それは、私が書き溜めてるヤツの方で、なろうではわけて投稿してるので16部分くらいです、たぶん。そうすると、たぶん完結も40話くらいだ……。私、何言ってたんだろう……。