#95:水族館
前回、前書き長すぎたので今回は特に書きません。
しばらく屋内エリアを回った後、俺たちは屋外エリアの方へと向かった。
「うわぁ、見てみて優君!」
天音がやけに興奮した様子で俺に声をかけてきた。彼女が見ている方向に目をやると、そこはたくさんのペンギンが生活しているスペースがあった。
「ペンギン可愛いよぉ」
「確かにあの見た目は可愛らしいよね」
氷の上をゆっくりと歩くその様子が可愛いと思う要因の一つなんだろう。
「もっと近くで見に行こうよ、千春ちゃん」
「ええ、ちょっと待ってください」
天音はそう言うと、千春の手を取ってペンギンがいる展示スペースのガラスの部分まで近づいていた。
「ふふふ、天音ちゃん楽しそうですね」
「ああ、そうだな。滅茶苦茶騒いでるよ」
「天音ちゃんは外に出てお出かけしたりする方が楽しいんでしょうね」
「そうだなぁ。まぁ、俺は家でゲームしてる方が好きだけど……」
「私も家でのんびりしている方がどちらかといえば性に合ってはいますね」
俺と美姫は、はしゃいでいる天音と何だかんだで楽しそうにしている千春を見ながらそんなことを話していた。
「……そういえば、後十分ほどでイルカショーが始まるみたいですよ?」
「イルカショーか。やぱpり水族館に折角来たんだったら、見ていきたいよね」
「そうですね。それじゃあ、天音ちゃんたちを呼びに行きましょう」
「そうだな」
俺たちは天音と千春を呼びに行った。イルカのショーがあることを伝えると、またもや天音は目を輝かした。そして元気な声で「行きたい!」と言った。千春も見に行きたいとのことで、全員の相違によりイルカショーが行われる場所へと移動することにした。
「あっ、そろそろイルカショーが始まるよ!」
「そうだな」
俺の隣に座っている天音が、俺の手を握りながらはしゃいでいる。ブンブン手を振るため、俺の腕も彼女の手に合わせて動いてしまう。
「天音、少し落ち着いて」
「あ、ごめんごめん」
舌を出してペロッと出してゴメンゴメンと謝る天音。まぁ、そんな様子も可愛らしいのでいいんだけど。
「お兄ちゃん、そろそろ始まるよ」
隣から千春が服の裾を引っ張りながらそう言う。今日は俺の反対側は美姫ではなく千春が座っている。元々二人でデートするところを美姫と天音を誘ったということで、流石に隣にいるのは千春の申し訳ないということで美姫が天音の隣に座り、俺の両隣は千春と天音が座ることになった。
「うわぁーイルカが飛んでるよ!」
「ふふふ、訓練されているとはいえ、こうして見るとすごいですね」
「うんうん。凄いね~……きゃっ、水しぶきが飛んできたよぉ優君」
イルカが水面をおもいっきり飛び跳ねると、水しぶきが観客席まで飛んできた。天音は水しぶきが当たると、俺に少し甘えるように声を出した。
「あはは、楽しいね優君」
「ああ……そうだな」
彼女が水しぶきに当てられて若干服が透けている状態で抱きついてきたこともあって、いつも以上にドキドキしてしまった。その結果、しどろもどろになりながら答えた。流石に他にも人がいるので、隣にいる千春が抱きついてくることはなかったけど、手をずっと繋がれていることもあり、さらにドキドキさせられる。
「あー楽しかったね優君」
「ああ、そうだな」
途中からあまり集中できなかったけど、それでもイルカたちの意気はピッタリあっていて、迫力もあって充分に楽しめるパフォーマンスだったと思う。現に俺以外の三人はスフごく楽しかったと言っているので間違いないだろう。俺?まぁ、普通に楽しめたとは思う。多分。
「今日は楽しかったねー」
「この後はとりあえず家に帰ってのんびりしましょうか。お兄ちゃんもそれでいい?」
「ああ、それでいいよ」
水族館を後にした後、俺たち4人は自宅でのんびり過ごした。




