#93:千春への報告(明日香編)
「ふふふ、お邪魔しまーす」
「ただいまー」
「お帰りなさいお兄ちゃん」
デートの後、姉さんは家に泊まっていくことになった。姉さんからの強い要望もあり、正式に付き合うことになった彼女の最初の要望を断ることなど俺にはできなかった。今日は両親がいないので、報告は明日以降にすることにした。
美姫と天音は明日の準備もあるし、ようやく彼女になれた姉さんの邪魔をしたくないとのことで、今日はそれぞれ家に帰っていた。とは言え、行き過ぎないように千春が監視役としているというわけだ。
「聞きましたよ明日香お姉ちゃん。お兄ちゃんと付き合えたんですよね?」
「うんそうだよ。ようやく想いが通じたんだ。だから、今度は千春ちゃんの番だよ」
「うん、頑張ります!」
全部俺に聞こえちゃってるんだよなぁ。千春の想いを知っているからか、名何かと気恥ずかしい。断端と恥ずかしくなってきた俺は、二人を置いて、自分の部屋に荷物を置きに戻った。
「あ、優君。今日は私が料理を作るからね」
リビングの方に向かうと、キッチンの方からそんな声が聞こえてきた。リビングのソファを見ると、そこには寛いでいる千春の姿があった。俺はキッチンで作業をしている姉さんの方へと向かった。
「姉さん……別にゆっくりしててもいいのに。俺が作るから」
「いいのいいの、気にしないで。彼氏に手料理をふるまってあげたいと思うのは当然でしょ?」
「でも、姉さんの作る料理は時々食べてるけど」
姉さんは分かってないなぁと言い、少しだけ呆れたような表情を浮かべた。
「だから、今日は千春ちゃんに休んでもらってるんだよ?実は私が一人で作ったものを食べてもらったことってあんまりないんだよね。美姫ちゃんとか千春ちゃんと一緒に作ることが多いからね」
確かにそう言われてみればそうかもしれない。この間のカレーを作る際も最終的には、姉さんと千春の二人で作っていたわけだからね。
「あーでも……そうだなぁ」
「うん……どうかした?」
「折角だから二人で料理しない?イチャイチャしながら一緒に料理するの楽しそうじゃない!?」
「イチャイチャはともかく……それは良い案かもしれない」
「ホントに!?それじゃあ、二人で料理しよっか」
二人で料理している間、たびたび姉さんから誘惑された。体を寄せてきたり、手を握ってきたり、味見というなの食べさせあいなどがあり、普通に料理するのに比べて少し時間が多くかかってしまった。
そんな俺たちをリビングから千春が呆れたようにかつ羨望のまなざしで見つめていたことなど俺たち二人に気づく由もなかった。
「あー、美味しかったね優君。また二人で料理しようね?」
「うん。だけどさ、料理は真面目に二人で作って、その後たっぷりイチャイチャしたほうが時間取れていいんじゃないかな?」
「あ、その発想はなかったかも」
姉さんは盲点だったと言わんばかりに驚きの表情を浮かべた。
「まぁ、確かにそうだと思うよ」
「あはは千春ちゃんもそう思うなら、今度作る時はやっぱりそのほうがよさそうだね」
姉さんは苦笑いを浮かべながらそう言った。すると千春は何かを思い出したようなしぐさをすると、俺のことを見てきた。
「あ、お兄ちゃん今度私とも一緒に料理作ってね?」
「ああ、分かった」
可愛い妹である千春からのお願いを断ることもできず、千春とも料理を作ることになった。
ちなみにこの日は、姉さんと千春と一緒に眠った。姉さんは俺と二人きりで寝たいと言っていたのだが、千春がかたくなに譲らなかった。美姫にそう言われたらしく、それならばと姉さんも渋々といった感じで妥協してくれた。
美姫いわく抜け駆け対策だそうだ。とは言え、流石に別々の場所で寝るのは酷だから同じ布団で寝ることは許可されたらしい。
「二人きりは禁止です!」と美姫ちゃんが言っていたそうです。




