#92:姉さんへの告白
サブタイトル通りの内容になってます。
「はぁはぁ……ここまで来ればさすがにもう追ってはこないよね」
姉さんはそう言うと手に膝をついて、息切れをした。
「うん、大丈夫。追ってきてはないみたいだよ」
俺がそう言うと、姉さんは安心したように深呼吸ををした。
「そ、そっか。それなら良かった」
「……姉さん」
「な、何かな?」
こんな状況で姉さんにさっきの話を聞くのはどうかとも思ったんだけど、姉さんの気持ちを確かめるには今しかないとも思った。少し迷った結果、俺は後者の選択肢を取ることにした。
「さっき、言ってたことって本当?」
「さっき言ってたことって……優君への想いってこと?」
「うん」
俺がそう言うと、姉さんはニッコリと笑って答えた。
「うん、本当のことだよ。全部、私の気持ち。普段口にすることないから、いい機会だと思って喋っちゃった」
「そっか」
そっか、そうなんだな。先ほどの姉さんの言葉で分かった。いや、分からされたというべきか。姉さんはやはり、従弟としてではなく、本気で一人の異性として愛してくれている。
「そっか、ありがとう。姉さん」
「うん?やっと私の気持ち伝わったかな?」
「え?」
俺がそう言うと姉さんは微笑んで、少しからかうように言った。
「そりゃあ、昔から知ってるんだから何考えてるかくらいは分かるよ。私が本気で好きかどうか判別出来てなかった……違う?」
「いや……その通りだけど」
「じゃあ、ばっちり伝わったのかな?ま、返事はいつでもいいよ。気持ちが固まったときに教えて」
姉さんはそう言うと、話を切り上げようとした。俺の気持ちは決まっている。最近、いつも以上に彼女と接してみてわかった。美姫や天音と同じように、姉さんも大事にしたい。幸せにしてあげたいし、姉さんとも一緒に幸せになりたい。
直接ではなかったけど、姉さんが俺への思いを真っすぐぶつけてくれた。なら、今度は俺の番だ。
「姉さん」
「うん、どうかした?」
「俺も姉さんのことが好きです。俺のことをよくからかってくるけど、真面目なところは真面目に俺たちのことを見守ってくれる。そんな姉さんの……明日香のことが好きです。美姫や天音と付き合ってるけど……こんな俺でもよけれあば付き合ってください」
俺がそう言うと姉さん――明日香は驚いたような表情を浮かべた。おして、目から涙が零れ落ちた。
「ね、姉さん!?嫌だったの?」
「そんなわけないでしょ。嬉しすぎて……幸せ過ぎて泣いてるだけ。やっと私の長年の想いが通じたんだよね!?」
「待たせてごめんね……明日香」
姉さんはそのまま俺の胸に飛び込んできた。そんな彼女をやさしく抱きしめて、頭をなでた。彼女をあやすというか、彼女のことを見守る立場になる機会はそうそうない。だから少し新鮮な気分だ。
「何か明日香って呼ばれるの嬉しいけど……恥ずかしい」
「じゃあ、辞めよっか?」
「うーん……二人きりの時だけにしてほしいかな?」
「分かった」
俺がそう言うと、姉さんの表情は笑顔になり、とても嬉しそうだった。
「うわわっ!?」
「え?」
「うわっ!?びっくりした」
突然、俺たちの方に向かって少女が倒れてきた。俺は慌てて少女をささえて、倒れないようにした。
「……って、天音?」
「あ、本当だ。……ということは?あ、やっぱり美姫ちゃんもいるんだね」
姉さんは天音が出てきた方を見ると苦笑いを浮かべた。俺もその方向を見ると、美姫が申し訳なさそうな表情を浮かべて、角から出てきた。
「お二人の幸せな時間を邪魔するつもりはなかったんですけど」
「私がバランス崩しちゃって、つい二人の間に出ちゃった……」
天音がしょんぼりしながら言った。
「……というかつけてきたのか?」
「心配だったから、私が天音ちゃんにお願いしたの」
姉さんはそう言った。どうやら彼女が天音に尾行を頼んでいたらしい。そしてその話を聞いた美姫が、天音の監視としてついてきたらしい。
「……まったく。まぁ、とにかくじゃあ折角だし四人でもう少し見てから帰るか」
俺たちは少しの時間、四人で街を見て回った。




