#73:体育祭
結局体育祭の話にしました。
体育祭の練習とかもこの期間にしていましたが、このシーンも割愛します。
GWから二週間が経ち、いよいよ体育祭の日になった。ここ一週間は朝練や放課後練習などもあり、運動が好きな人はとても充実な日々を送っていた。
「ああ、やっと今日でこの日々から開放されるのね」
「そんなに嫌だったのかよ」
さも辛そうに言う、渡会に対して俺は呆れながらそう言った。
「あはは、瑠璃ちゃんそんなこと言わずに、頑張ろうよ」
「今日のためにせっかく頑張ってきたんです。今日、全力を出し切りましょう」
「そうね。とりあえず、今日は全力で頑張るわよ」
天音や美姫に励まされて、渡会も全力で協議に臨むことにしたらしい。とはいっても学級委員をやっていて、責任感の強い彼女が途中で投げ出すなんて最初から誰も思ってないけどね。
「お兄ちゃん、応援に来たよ!」
千春はそう言うと、俺に抱き着いてきた。周囲からの視線が少し痛いが、可愛い妹に抱き着かれていることの喜びの方が大きいので気にしていない。
「あっ、久しぶりですね千春ちゃん」
「こんにちは」
「茜お姉ちゃんに、瑠璃お姉ちゃんこんにちは。今日は頑張ってください」
千春からの応援に、小泉が嬉しそうな表情を浮かべておいた。
「はい、任せてください!。私の活躍を見ていてください。先輩のクラスには負けませんよ!」
「いや、基本的に同じ学年同士でしか戦わないでしょう」
渡会が呆れたようにそう言った。学年別の種目等もあるので、優勝は学年ごとに決められる。一応全学年の中から一クラス総合優勝を選ぶんだけど、基本的には三年生が選ばれるようになっている。三年生の優勝とは実質二位ということになる。とはいえ、これは俺たち二年生には関係のないことだ。
「とりあえず、私たちは優勝を目指して頑張ります!」
「私も、両親に格好悪いところは見せられませんから」
天音が高らかに宣言をした。美姫もどうやら優勝する気らしい。
「あれ、美姫の両親も今日は来るのか?」
「そうみたいですね。わざわざ外国から今日のためだけに戻ってくるらしいです。動画はセバスに取らせるから大丈夫と言っておいたのですが……」
「それは愛じゃないかな、美姫ちゃん」
母さんが美姫にそう言った。
「子供の成長は親なら、見たいものだよ。特に美姫ちゃんの両親は普段お忙しくて中々家に帰れてないみたいだから、こういう機会じゃないとなかなか会えないからじゃないかな?」
「そうかもしれませんね。そんな両親を喜ばせるためにも、全力で頑張ります」
「ふふっ、その意気だよ。千春、そろそろ席に向かうよ」
「はーい。それじゃあ、お兄ちゃん頑張ってね」
「ああ」
千春はそう言うと、千春と一緒に歩いて行った。
「そろそろ私も学年の生徒席に戻らなきゃいけないので、これで失礼します」
時間を見るとそろそろ出席の時間が近づいていたからか、小泉は一年生の席の方へと戻っていった。俺たちも二年生の席へと移動した。
出席も取り終わり、いよいよ開会式が始まる。俺たちは入場問の方からトラックに入るため、移動をした。
「いよいよだね、優君」
「ああ。美姫は長距離走、天音は選抜リレーがあるんだろ?応援してるから、頑張れよ」
「うん、任せておいて!」
「はい。応援してくださいね、優也君」
「任せとけ!」
そんな話をしながら歩いていると待機場所へと着いた。そして、入場開始の合図がなり、行進が始まった。入場するときは行進しながら、開会式の場所まで移動する。右足を上げて左足を上げて指先をピシッとする。練習の時酷い生徒は周りにいる先生から注意を受けていたからな。結構これ疲れるんだけどと、文句を言いながらも練習に参加していた。
そして、トラックを半周して、朝礼台のない方まで回ってそこからクラスごとに横に並んでいった。
すべてのクラスが整列し終えると、いよいよ体育祭の開会式が始まった。




