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#69:渡会と小泉と映画

美姫ちゃんたちに宣戦布告してましたし、そろそろ瑠璃ちゃんと茜ちゃん本格始動です!

「結構一杯服を買ってしまったわね」

「本当だよ。何で俺がこんなに持たなきゃいけないんだ?」

「先輩、何か言いましたか?」


 小泉は揶揄うようにそう言った。俺に両手にはあふれんばかりに、皆が買った服が詰め込まれている。そのバッグを十個ほど腕にかけたりして持っていた。一応美姫たちも一つか二つずつ買ったものを持ってはいるんだけど、重いなこれ。



「お呼びですか、お嬢様」


 突然見覚えのある人たちが、美姫の前に来た。


「すみませんが、この荷物を車に運んでおいてもらえませんか?」

「かしこまりました。優也様、失礼いたします」


 五人ほどの集団は、そう言うと、俺たちから荷物を一つずつ丁寧に受け取った。そして、全て受け取ると、そのまま荷物を持って行った。


「今の人たちに荷物渡しちゃっていいんですか?」

「あれは、美姫ちゃんの家のメイドさんと執事さんだから大丈夫だよ」

「そ、そうなんですか。……服が違っているから全然分からなかったわ。それに護衛があんなにラフな服を着ているとは思わないわ」


 姉さんは小泉に言うと、彼女は首をかしげていた。渡会もダイジョブなのかと少し心配している様子だ。今はメイド服とか執事服を着ていないからだろうな。結構ラフな服を着ていたから分からなかったのだろう。流石にショッピングモールでメイド服とか執事服を着た集団がいたら目立ってしょうがないからだ。一応あんなラフな服装だが、外に護衛に出るときの制服らしい。




「それじゃあ、荷物もなくなったし次はどこに行きましょうか?」

「あ、はーい!皆で恋愛映画見たい!」

「それは確かに面白そうかも」


 天音の提案に対して、ニヤニヤしながら姉さんがそう言った。そして、あからさまにハッとした表情を浮かべるとわざとらしい困った表情を浮かべた。


「ちょっと少しだけ用事が出来ちゃった。人手がいるから、美姫ちゃんと天音ちゃんと千春ちゃん少し来てくれないかな?」

「え、用事?でも、恋愛映画は……」

「なるほど……そういうことですか。分かりました」

「え、私も?何をするの?」

「三人はゆっくり映画でも見ててね」


 姉さんに手を引かれる三人。美姫だけは何かを察したような表情だったが、天音と千春はぽかんとした表情で姉さんについていく。


「これ、俺たちは行かなくてよかったのか?」

「……どうなのかしら?」

「そうだ、折角なので三人で映画見ませんか?」

「確かに、それはいいかもしれないわね」

「え、あっち行って手伝ってきたほうが……」


 俺がそう言って、姉さんたちが向かった方向へ行こうとすると両腕をがっちりとホールドされた。


「逃がさないわよ」

「そうですよ、先輩。私たちと恋愛映画を一緒に見るんですよ」

「そうね。こういうのは、異性がいたほうが盛り上がるじゃない?」

「いや、映画館で盛り上がっちゃ駄目じゃないか?」

「細かいことは気にしちゃ負けです。さぁ、先輩一緒に映画を見に行きますよ」

「あ、おい引っ張るなって」


 やけにテンションの高い渡会と小泉に連れられて、映画館がある場所へと移動した。


「それじゃあ、先輩食べ物と飲み物を買いましょう」

「俺はポテトとジュースにするわ」

「私は、ポップコーンとジュースにします。渡会先輩はどうしますか?」

「私はジュースとポップコーンにしておくわ。それじゃあ、チケット買ってくるからそっちは任せたわよ」


 渡会はそう言うと、チケット売り場の方へと向かった。小泉は俺と手をつなぐとご機嫌な感じで、食べ物と飲み物が打っている場所へと俺の手を引くようにして向かった。


「いらっしゃいませ。あら、カップルの方ですか?」

「え、いや違い……」

「あ、はいそうです」


 いや、カップルじゃないんだけど!?


「それではカップル用のストローが二本刺さってるものはどうでしょうか?こちらカップルでご来場の皆様に割引価格でご提供させていただきます」

「あ、それいいですね!ただ多分足りなくなるので、それを二つ用意してもらえませんか?」

「かしこまりました」


 それから天音はポップコーンやポテトを頼んでいた。カップルのジュースを何で頼んでんだ!?割引で買えるからなのか、凄く上機嫌だし。


 そんな彼女に手を引かれて、チケットをすでに買い終えている渡会のもとへ重い足取りで向かった。

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