#65:フルーツパンケーキ
パンケーキの上にチューブ状の生クリームで円を描くように塗った後、真ん中にフルーツをのせてパンケーキをのせる。結構美味しいんですよね、これ。
ちなみに、イチゴとかミカンとかパイナップルあたりのフルーツをのせて食べます。
「おはようございます。皆さん」
「ふわぁ。あ、おはようございます。美姫先輩」
「おはようございます、美姫お姉ちゃん」
「おはよう。三人で朝から散歩かしら?」
部屋に戻ると、美姫が三人に声をかけた。小泉はまだ寝ていたようだが、千春と渡会の二人はどうやら既に起きていたみたいだ。
「うん、すっごく楽しかったよ!」
「……そう。それなら良かったわ。朝起きたら、三人揃っていなかったから少し心配したのよ」
「すみません。優也君と天音ちゃんが起きたときは、まだ皆さん眠っていたので」
「まぁ、怒ってはないわ。久しぶりにこんなに遅く起きたわ。昨日少し早ぎ過ぎたせいかしら?」
渡会がそう言うと、小泉は不思議そうな表情を浮かべた。
「そんなにはしゃいでいました、渡会先輩?」
「わ、私にしてはあれでもはしゃいでる方よ。家だと勉強したり本読んだりしかすることないから仕方ないじゃない」
「うっ、それはその」
「辞めて頂戴。貴方に同情された目で見られたくないわ」
渡会は自虐を交えながら、小泉にそう言った。小泉もばつが悪いのか何か言葉を返すようなことはなかった。
「お待たせしましたぞ。パンケーキとフルーツのセットでございます」
執事長のセバスチャンがそう言うと、パンケーキが乗せられたお皿とフルーツが盛られているお皿が運ばれてきた。
「あ、ちゃんと生クリームもある」
「本当だ。良かったな、天音」
「うん。ありがとう美姫ちゃん」
「いえ、私は何もしていませんけど。……だそうですよ、セバス」
「ありがたいお言葉ですな。その様にスタッフにも伝えておきますぞ」
セバスはそう言うとスタッフを連れて食堂から出て行った。天音はパンケーキの上に生クリームをかけて、フルーツを乗せたものに上からパンケーキを乗せるのが大好物だ。天音に進められて食べているうちに、気づけば俺と美姫もこれが好物になってしまうほどだ。
普通にバターを塗って、メープルシロップをかけたりして食べるのも、美味しいんだけど、やっぱり俺はこっちの方が好きである。
「うわぁ、その食べ方美味しそうです!」
「私は、パンケーキに乗せたことはないけど美味しいのかしら?」
パンケーキの上に生クリームとフルーツを載せてはさむという食べ方に、目を輝かせる小泉とは対照的に、渡会は少し怪訝な目で見ていた。
「うん。味は私たちが保証するよ。ねっ、千春ちゃん」
「はい。天音お姉ちゃんが元々よく食べてましたけど、今では家でも結構食べます。美味しいんですよ」
「そ、そこまで言うなら食べてみるわ」
「お先に……頂きまーす」
姉さんと千春に美味しいのかを聞いている間に、せっせと作っていた小泉が着く多tフルーツパンケーキを口の中へと入れる。そして、美味しそうな表情を浮かべていた。それをチラチラと横目に見ながら、渡会はパンケーキに生クリームを塗ってフルーツを置いた。そして、パンケーキをもう一枚上から挟むと恐る恐る口に入れた。
「……美味しいわね、これ」
「ですよね。なんですか、これ。こんなに美味しいものがあるならもっと早く教えてくださいよ、先輩!」
二人とも美味しそうに食べていた。
「いや、教える機会なかっただろう」
「そういうことじゃありません。デザートは乙女の嗜みなんですよ」
小泉は少し誇らしげにそう言った。デザートは別腹みたいな感じなのだろうか。余り俺にはよく分からないけど。小泉はもう一枚パンケーキを取ると、もくもくとフルーツを載せていた。あまり気にしてなさそうだけど、美味しければ何でもいいか。そう思って、俺はもう一枚、パンケーキを取り、フルーツパンケーキを作ったのだった。
ちなみに、最終的に小泉はあの様子からわかる通りだが、渡会も結構たくさん食べていた。




