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#51:バレーボール

渡会と小泉を三人で見守ってる感じの回になっちゃったかも

「それでは先攻にしますね」


 じゃんけんの結果、美姫たちが先攻ということに決まった。向こうのチームは美姫がサーブをするらしい。美姫はボールを真上に挙げると、飛び込んで思いっきりボールを俺たちのコートめがけて打ってきた。


「ここに来るのはお見通しだよっと、それ優君」


 思考を読んでいたかのように、落下地点にいた姉さんがレシーブをして俺のほうにボールを高く上げた。そして、俺はそれをネットに近い位置に高く上げた。


「行っくよー!」


 天音はボールに合わせて飛び込んで、そしてアタックをうった。ボールは見事に渡会と小泉の間に着地した。


「やったよー優君」

「私たちの成果だね」


 そう言うと天音と姉さんが俺に抱き着いてきた。いやいや、ちょっと待て。勝ったみたいな雰囲気出してるけど、まだ一点決めただけだよね?反対側のコートから冷たい視線を感じた。しかし、二人は俺に抱き着いてきており、向こう側のコートのことを気にも留めていない様子だった。


「何やってるんですかー先輩!」


 向こうから突然小泉がそう叫んだ。その表情は何処か不機嫌そうにも見える。二人は彼女が叫んで、ようやく俺から離れてくれた。


「それじゃあ、優君ファイトだよ!」

「ああ、任せとけ」


 俺はジャンピングサーブを渡会と小泉のいる前方の、二人の間めがけてうった。すると、またしてもボールは二人の間に落ちた。


「貴方の方が近かったのだから、貴方が取りに行くべきでは?」

「いやいやいや、今のは私届きませんって」


 二人はそう言い合いを始めてしまった。二人の言い合う声は大きく、反対側にいる俺たちの方まで聞こえてきてしまっている。


「わわわ、どうしよう優君。止めに行ったほうがいいよね!?」

「ああ、流石に言った方がいいか」

「いや、待った。多分大丈夫じゃないかな」


 止めに行こうとした俺と天音を姉さんが止めた。二人のもとにゆっくりと歩いている美姫の姿があった。まぁ、確かに美姫ならば上手くまとめてくれるだろう。ならば、俺たちはこの間に作戦を少しでも立てておくべきだろう。二分ほどで、話し合いが終わったのか美姫から合図があった。


「さてと、あの二人の息があってないからもう一度そこを狙うか」


 俺は再び二人の間を狙ってサーブを打った。間に飛んだボールは待っていたとばかりに小泉がレシーブをする。流石に読まれてしまっていたのだろうか。とは言え、二人がアイコンタクトをしてどちらが取るのかを瞬時に判断していたようにも見えた。


 小泉によってレシーブされたボールを、千春がトスでネット近くに上げる。そして、それを待っていたとばかりに渡会がジャンプした。


「させないよっと」


 姉さんは渡会のアタックをふさぐように、完璧なタイミングで跳んだ。しかし、渡会はボールに触れることなく、スルーをした。少し遅れて、ブロックのいなくなった完璧なタイミングで跳んだ小泉がアタックをした。完全に虚を突かれてしまい、ボールは俺の三歩ほど前に落ちた。




 こちら側のコートにも、彼女たちの喜んだ声が聞こえてきた。小泉と渡会の連携もなんだかんだ言ってうまくいっていた。


「みんな凄いね」

「こうなってくると人数差が流石にきついかなー」

「でも全力でやるだけだ」


 結果として俺たちは負けた。向こうはトスを上げた後に、うつことの出来る人が基本的に二人はいる。千春はうてないにしても、彼女がトスをした後は大体のメンバーはうってくるのでまずブロックは厳しい。さらに、人数差があるため、こちらは打ち込んでも中々に点数が決まらず疲労したところで点数を入れられてしまった。


 二セット先取というルールでやったのだが、俺たちは一セットも取ることが出来ずに負けてしまった。


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