#42:帰り道
普通の帰り道です。
予告していました通り、明日明後日の投稿をお休みさせていただきます。
水曜日には続きを出す予定です。よろしくお願いします。
「あ、優也君。お疲れ様です」
「優君お疲れー」
「ああ、二人も頑張ってたじゃん」
体育祭に向けた練習が先ほどまで行われていた。天音は運動神経抜群、美姫も運動神経はかなりいい方なのでそれぞれ走る系統の選手に選ばれていた。ちなみに、天音がリレーで美姫は長距離走だ。
二人は明るくそう言っているが、かなり疲弊している様子がうかがえる。まぁリレーとか長距離走のに出る人は、それに向けた練習があるからな。俺みたいに借り物競争とかそういった種目の練習はそれほど辛くないので楽なのだ。
「勿論。目指せ優勝です」
「うん。私も優勝目指して頑張るよー!」
二人とも意気込みはばっちりというわけだ。まぁ体育祭まであと三週間くらいはあるんだけども、今からそんなにやる気を出して疲れないのかな。まぁ、それが彼女たちのいいところでもあるんだけど。
「とは言え、疲れましたね」
「うんうん。優君に癒しを求めます」
「あのなぁ、帰ってからにしろよ?」
「帰ってからならいいんだね、優君」
「言質取りましたからね」
体育が終わり、帰りのホームルームが始まる前に二人がそんなことを言ってきた。まぁ、別に二人のことを癒すのは俺にとっても癒しになるので全然かまわないんだけど。そう思っていると先生が教室に入ってきた。美姫と天音は自分の席へと戻った。
「貴方も大変なのね」
「そう思うなら、優勝した時の約束をなしに……」
「出来ると思う?」
「い、いえ」
「それならいいわ。今更、ご褒美はなし何て言われたら、私何をするかわからないわ」
こ、怖ぇ。俺がもし仮にそんなことを言おうものなら、彼女は一体何をするのか。渡会が言うと、割と冗談に聞こえない所がまた怖い。まぁ優勝しなければ、幸せにするという約束はないんだけど。ちなみに、体育祭の時に手を抜くことは彼女によって禁止されている。まぁ、そこで俺が手を抜いたらフェアじゃないからな。
「さてと優也君、帰りましょうか」
「ああ。渡会も途中まで一緒に帰るか?」
「ええ、お願いできるかしら?」
渡会は少し考えた後、その様に言った。それを見ていた天音が少しだけムッとした表情で渡会のことを見た。
「そんなに他人行儀にならなくても大丈夫だよ、瑠璃ちゃん。私たち友達でしょ?」
「ええ、そうね。ありがとう」
「ふふん、どういたしまして」
そう言う天音はとても嬉しそうだった。
校門の前に行くと、そこには見られた二つの人影があった。
「あ、先輩遅いですよー!」
「やっときたぁ。さぁ優君早く帰ろう」
小泉と姉さんだ。今日の二人は校門で待ち伏せをしていたらしい。小泉はともかく姉さんは別に俺のストーカーというわけでもないので、待ち伏せという表現は少し変か。
「先輩、歩くの面倒なのでおんぶしてください」
「いや、自分で歩けよ」
「えー何でですか?私みたいな美少女をおんぶできるんですよ、役得だと思いませんか!?」
「いや、別に?何なら今も美少女と手をつないでるわけだし」
すると俺の両手が震えた。
「ゆゆゆ、優君!?」
「えっと優也君。その……いきなりは恥ずかしいです」
いきなり美少女と言ったからか、俺と手をつないでいる天音と美姫が滅茶苦茶はずかしそうに俺のことを見つめていた。
「先輩のバーカ」
「バカとは何だ!?」
「いやーまぁ今のは優君が悪いんじゃない?」
「え、俺が悪いのか!?」
俺は助けを求めるべく、渡会の方を見た。すると彼女はため息を吐いた。
「自分で考えなさい。女たらしさん」
彼女はそう言うと、そっぽを向いてしまった。俺は揶揄ってくる小泉にやり返すためにそう言ったんだけ何だけど、俺が悪いのかこれ?




