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#31:未来のお嫁さん!?

この話を書いてるときは、まさかこんなサブタイトルになるとは全く思ってなかったですね……

「さてと優君。この後は何をしようか?」

「何って……別に何をしてもいいとは思うけど」

「優君、それご飯の時に言ったら呆れられちゃうかもよ?」

「そ、そうなのか!?」


 俺は、恐る恐る美姫の方を見た。すると、彼女はニッコリと微笑んだ。


「私は優也君の好みを把握していますので、食べたそうな物を考えて作りますから気にしないでくださいね。でもまぁ、言ってくれた方が作りがいはあります」


 美姫は一寸の迷いもなくそう言った。そう言ってくれてはいるのだが、どうやら言った方がいいのは事実みたいだ。だったら料理を作ってくれる時に何でもいいというのはやめよう。


「でもさ、優君」

「うん?」


 天音が、ちょいちょいと俺の服の裾を引っ張って、俺のことを呼ぶ。天音は首をかしげて不思議そうに姉さんを見つめた後言った。


「料理は確かにそうかもしれないけど、何をするかはまた別じゃないかな?」

「え?」

「だって、何もせずにこうやって一緒にだらだらと過ごしているだけでも幸せだもん」

「確かにそうだな。……姉さん?」


 俺はジト目で姉さんのことを見た。すると姉さんは両手をパーにして慌てた様子で弁解し始めた。


「た、確かに関係なかったねー。でもでも、これで優君も一つ学んだでしょ?」

「まぁ、そりゃって俺を不安がらせようとしやがって。大方、美姫のことで俺を不安がらせようとしたんだろ?」

「あはは、バレちゃった?」


 姉さんは、いたずらがバレた子供のようにそう言った。


「だけど残念だったな。俺と美姫の愛はそう簡単に切れるものじゃないぜ」

「……優也君」

「……美姫」


 美姫がうるうるとした表情で俺のことを見てきた。俺はそんな彼女のことがいつもよりもさらに愛おしく感じ、彼女の腰に手を回した。そして、顔を近づけて唇同士の接触――つまりキスをしようとした。しかしながら、それは横から割り込まれた一本の指によって防がれた。


「二人だけイチャイチャずるい」

「あ、ごめんなさい天音ちゃん」

「むぅ、偶には二人きりでイチャイチャしたいのも分かるけど。まだ彼女じゃない私の前で見せつけられるのは、ちょっとずるいもん」


 天音は頬を膨らませて、少しだけムッとしたようにそう言った。本人は少し怒っているつもりなのだろうか、迫力はなくむしろどこか可愛らしささえ覚えてしまう。そんな彼女を姉さんが見逃すわけもなく、彼女は天音に抱き着いていた。


「あー天音ちゃん可愛いよ?」

「明日香ちゃん!?ちょっと、抱き着くのは恥ずかしいから」

「えへへ~天音ちゃんが可愛いのがいけないんだぞ~」


 しばらくして、姉さんの拘束から解放された彼女は涙目で羞恥心を覚えていた。


「うぅぅ、お嫁にいけないよぉ」

「大丈夫ですよ。優也君がもらってくれますから」

「本当に優君?」


 天音は目に涙をうっすらと浮かべて上目づかいで俺のことを見つめてきた。


「……か、考えておく」

「本当に!?ありがとう」


 俺がそう言うと、天音は嬉しそうな表情を浮かべていた。無邪気な天音も可愛らしい。


「じゃあ、私お姉ちゃんのこともお嫁さんにしてほしいなーなんて」

「姉さんはそうだなぁ……俺のことを揶揄うのをまずやめてからだな」

「むぅ、それじゃあ面白くないじゃん」

「人をからかって楽しむんじゃない」


 俺は姉さんに少し悪態をつくように言った。姉さんといい小泉といい、人をからかうことを趣味にするのはやめてほしい。とはいえ、二人が急にそれを辞めたら二人らしさがなくなってしまうというか、何というか。


 まだまだ俺も甘いのかもしれない。俺は「私もお嫁さんにして―」と揶揄うようにしていう彼女を横目にため息を吐いた。



――この時の揶揄いだと思っていた言葉は後に本気だと分かるんだけど、それはまた先のお話である。

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