#29:明日香と茜
何か書こうかと思ったけど、本編書いてるうちに忘れました。
「優君ー」
放課後、姉さんはそう言うと俺の教室の外から俺たちに向かって手を振っていた。
「なっ、生徒会長!?」
「月田の野郎、生徒会長まで」
「野郎ども、火祭りだ」
男子から浴びせられる嫉妬の声が痛い。というか一人滅茶苦茶物騒な人がいるんだけど。 え、俺焼かれるの。真面目に怖いんだけど。俺たちはクラスメイトじゃなかったのか!?
「あら、貴方生徒会長とも知り合いだったのね」
「姉さんは俺の従姉何だ」
「従姉かぁ……なるほどね」
渡会はそう言うと、姉さんの方を見た。
「優也君帰りますよ」
「優君、帰ろー」
「……私も一緒に帰っていいかしら?」
「ああ、構わないよ」
俺はそう言うと、机の上に置いてあった鞄を取り、教室から出る。教室から出て姉さんと合流すると、彼女はそのまま俺に抱き着いてきて頭をなでた。
「あ、あの姉さん?」
「なっ!?つ、月田君どういうことかしら?」
「どういうことって?」
「いえ、何でもないわ」
渡会は何かを言おうとしていたのだが、何だったのだろうか?
「久しぶりに優君と手をつないで帰ってもいい?」
「いや、あのなぁ」
「構いませんよ、明日香さん」
「本当に!?ありがとー美姫ちゃん」
姉さんはそう言うと、美姫に抱き着いた。抱き着かれた美姫は、少し驚いたような表情を浮かべてはいたものの恥ずかしそうにしていた。
「反対側の手は、天音ちゃんに譲りますよ?」
「いいの!?ありがとう、美姫ちゃん」
「私は構いませんけど、渡会さんは優也君と手をつなぎたいですか」
「いえ、私は遠慮しておくわよ」
あの、美姫さん。俺は一応貴方の彼氏なんですよね?天音や姉さんはともかくとして、どうして渡会さんにまで聞くのだろうか。
「あ、先輩じゃないですか。私を迎えに来てくれたんですか?」
さらに問題児と会ってしまった。
「というか、ここ帰り道だろ?」
「ふふふん、別に照れ隠ししなくてもいいんですよ?」
照れ隠しも何も、俺たちのフロアに小泉がいるほうがおかしい。一年生のフロアは四階で、階段を使って一階まで降りれば三階に寄る必要はないからね。そんなことを思っていると、彼女が驚いたような表情を浮かべた。
「せせせ、先輩。何で生徒会長さんと一緒に手を繋いでいるんですか!?」
「ああ、姉さんは俺の従姉なんだ」
「本当なんですか?美姫先輩、天音先輩」
小泉は俺の方をジト目で見てきた後、二人に聞く。二人がそうと答えると彼女は納得したような表情を見せた。どうやら俺が言っても信じてくれないのに、彼女たちの言うことは素直に信じるらしい。
「先輩モテモテですね~」
小泉はそう言うと、ニヤニヤした表情で俺のことをからかってきた。そうだ、いいこと思いついた。
「そうだね。だから人のことをからかってくる後輩に構ってあげられる時間はないんだよ」
「なっ!?むむむ……そう来ましたか」
小泉は少し驚いた後、頬を膨らませて不貞腐れるような仕草を見せた。その様子は可愛らしかった。……っていけないいけない。相手は、初心な男子を揶揄ってくる小悪魔な存在だ。決して見た目に騙されてはいけない。何度揶揄われたことか。
「あはは、この子可愛いね」
「な、何ですか生徒会長さん」
姉さんはそう言うと、俺とつないでいた手を離して、小泉に近づいた後彼女の頬を指で触って遊んでいた。
「生徒会長とあの子中々相性いいんじゃないかしら?」
「確かに仲はよさそうだね」
「そうか?」
「一方的に明日香さんが揶揄っているような気もしますが」
「俺もそう思う」
「ですよね」
俺と美姫はそう言うと苦笑いを浮かべた。とは言え、普段から人のことを揶揄っているからそうなるんだ。そう思って、止めずにそのまま帰ることにした。
「あっ、ちょっと待ってください先輩」
「優君、お姉ちゃんを置いてかないでー」
ただ二人ともすぐに気づき、慌てて俺たちの元に駆け寄ってきた。結局六人で帰ることになったわけだが、いつもよりも周りから向けられる視線は鋭かった。




