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#295:バレンタイン(前編)

 学校に来るといつもより、騒がしい気がする。耳を澄まして聞いてみると、男子たちが何かを待ち焦がれている様子だった。


 ああ、今日はバレンタインだっけか。だから男子たちが血眼になっているというわけか。見ているさまは何だか恐ろしくもある。俺はどうなのかって?去年とかも幼馴染である美姫と天音が、手作りチョコをくれたので血眼になってチョコを欲しそうにしたことはないなぁ。


 あの時は気づかなかったけど、今になってよくよく考えてみればチョコはハート形だった気がする。それに美姫たちは女子にチョコをもらったら返したりとかはしていたけど、他の男子にあげているところは見たことがなかったので、そういったところでも俺にアピールをしてくれていたのかもしれない。


 付き合って最初のバレンタインということもあって、美姫と天音、それから姉さんと瑠璃、千春の五人は家に帰ってから手作りチョコをくれるらしい。姉さんも受験が終わって久々に皆と一つのことが出来てとっても楽しかったそうだ。


「せんぱーい!」

「月田先輩」


 そんなことを考えていると、教室の外から元気な声がしたと思ったら、一人は嬉しそうに、もう一人は恥ずかしそうにしながら、俺たちに近づいてきた。


「お、おはようございます月田先輩」

「おはようございまーす、先輩」


 亜里沙と茜だ。以前までは茜一人だけで来ていたけど、俺たちと友達になって以降亜里沙もたまに来るようになり、恋人になってからは毎日朝俺たちの教室に来ていた。


「先輩は美姫先輩とか天音先輩からもらうんでしょうけど、私たちも渡したいので。はい、です」

「私からもバレンタインチョコです。放課後行けたら良かったんですけど、明日も学校があるので……」


 茜は少しだけ不貞腐れたように、亜里沙は申し訳なさそうにそういった。


「いや、気持ちだけでも嬉しいよ。って、これは手作り?」

「そうですよ。亜里沙に教えてもらって作ったんですよ」

「茜ちゃんと一緒に作りました」


 俺が二人からチョコを受け取ると周りが騒ぎ出した。女子は黄色い悲鳴をあげている人や面白そうにしている人が多かった。一方で男子は、なんであいつがだったり、美姫がいるのに後輩からももらうなんてずるいみたいなことを言っていた。


「あ。おはよう、優也君」

「おっはー美姫ちゃん、天音ちゃん」


 すると二人組の男女が俺たちに声をかけてきた。よく見ると二人は手をつないでいた。先週まではそんなことなかったのに。


「あれ二人とももしかして?」


 そんな様子に気づいたのか、天音が聞いた。すると葵は恥ずかしそうにしながらも、


「うん。昨日僕は告白したんだ。それで付き合うことになったんだ」

「そっか。おめでとう、葵」

「優也君……うん、ありがとう」


 葵は嬉しそうにそう言った。そっか、葵に彼女か。二人の性格からして、葵から告白することはないんじゃないかと思ってたけど、成長したんだな。


「この雰囲気は。あー。チョコ欲しがってるのか、なるほどなー」


 島田さんは周りを見渡して、呆れたようにそう言った。


「まぁこんだけ貰えない奴がいる中で、一人がこんなに可愛い後輩からも貰ってるんだからそうなるかー」


 彼女は面白おかしく笑いながらそう言った。「ま、アタシは葵のことが大事だし、他の人にあげるつもりもないけどねー」と言っていた。そんな彼女の言葉に、葵は少しだけ嬉しそうにしていた。



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