表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
291/301

#290:亜里沙とお家デート

「月田先輩。私とデートしてください」


 ある休日、亜里沙は真面目な表情を浮かべてそう言った。そんな彼女の後ろから、茜がひょっこりと顔を出した。


「先輩忘れてませんか?亜里沙から告白受けていることを」

「いや、忘れてはないけど」

「亜里沙は私の親友なんですから。悲しい思いをさせたら承知しませんからね。……ということで先輩は亜里沙と二人きりで、デートをしてきてください。あ、二人の場合はお家デートの方がいいかも」

「え。茜ちゃんも一緒に……」


 三人で遊ぼう。そう言おうとしていた亜里沙を遮るようにして、茜は話を続けた。


「それでも私はいいんだけどね。亜里沙。偶には二人きりの時間を作らないと、先輩に女の子として診てもらえないよ?」

「そ、そうなんですか。月田先輩」

「いや、そんなことはないよ!?」


 勿論亜里沙のことは女の子として見ているつもりだ。学校だと地味な格好をしているかもしれないけど、デートの時にオシャレをしてきてくれた時はすごくかわいい子だと思ったし、色々な発明品を作っている彼女は素敵な女性だと思う。


 茜がお家デートにした方がいいと言った理由は、亜里沙は俺に休日会いに来るときはオシャレをしてきてくれているらしいんだけど、外でデートとなると更に気合を入れてしまし、結果として周りから凄く注目されるからだそうだ。「他の男の人に私の親友を渡して溜まるものですか」と言っていた。



「まぁ。そういうわけで、今度埋め合わせしてくださいね、先輩」


 そう言うと亜里沙は部屋から出て行ってしまった。埋め合わせも何も茜が勝手にそう言っただけなんだど。……まぁ、亜里沙と二人っきりになれる機会を与えてくれたのはありがたかったし、今度お礼も兼ねて彼女に何かをするとしようか。


「あ、あの月田先輩。ど、どうしましょうか?」

「そうだな。亜里沙はゲームとかってあんまりやらないんだっけ?」

「あ、あまりやらないですね。興味がないわけではないんですけど……」

「じゃあ、一緒にやらないか?」

「へ?ゲームですか?……まぁ、確かにそれなら過剰に緊張することもないでしょうから、いいですね。やりましょうか」


 こうして亜里沙と一緒にゲームをやることに決めた。




 彼女とゲームを一緒にやってみて分かったことがある。彼女は多分ゲームが滅茶苦茶うまいんだろう。何種類かアクションゲームを一緒にやったんだけど、とても美味い。


「凄いじゃん。亜里沙」

「えへへ。ありがとうございます、月田先輩……あっ」


 突然亜里沙の顔が真っ赤になった。どうしたんだろうと思ってふと考えると、感極まって彼女に抱きついていたことに気づいた。俺は慌てて彼女から離れた。


「ごめん。ずっとクリアできないコースがやっとクリアできたから」

「お、お役に立てたなら良かったです」


 俺たちの間に終始無言の時が訪れた。そして亜里沙が大きく息を吸った後、覚悟を決めた表情を浮かべて俺のことを見てきた。


「あの……月田先輩。さっきみたいに、もう一回抱きしめて欲しいです」

「さっきみたいにって……わ、分かった」


 亜里沙に言われた通りに、俺は彼女のことをもう一度抱きしめるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ