#28:朝倉 明日香
新キャラ登場です。
翌日いつも通り、俺たちは学校へと向かった。少し早めについているということもあり俺たちのほかには渡会しか来ていなかった。
いつも通り彼女と挨拶を交わして四人で話していたのだが、水筒を持ってくるのを忘れていたため自動販売機に買いに行くことにした。美姫と天音は一緒に行こうとしていたみたいだけど、買ってくるだけだから三人で話していてと言って俺は教室を後にした。
階段を下りて、一番近い自動販売機についた俺はお金を入れて飲み物を選択しようとした。いつも俺がよく買う、あの炭酸ジュースにしようかな。すると突然、後ろから話しかけられた。
「優君は、グレープ味の炭酸ジュースが飲みたいんじゃないかな?」
「……姉さん」
朝倉 明日香。金色に染めたその髪が特徴的で、長い髪を後ろで一つにまとめている。髪を金に染めているということで、ギャルとかを想像してしまうかもしれないが、素行は良く生徒会長を務めているほどだ。
そして、俺が彼女のことを姉さんと呼ぶのには理由がある。彼女は俺の従姉に当たる人物である。母さんのお兄さんの娘さんで、幼い頃からかなり一緒に過ごしてきているので自然とそう呼ぶようになっていた。勿論、美姫や天音それから千春とも面識がある。特にテスト前になると俺と天音は彼女に勉強を教わることもある。
「聞いたよ、優君美姫ちゃんと付き合ったんだって?」
「え、ああ……まぁ、そうだな」
「なるほどなるほど……ここまでは美姫ちゃんに聞いた通りみたいだねっ」
「どうかしたの明日香姉さん?」
「い、いやっ何でもないよ!?」
姉さんが何か小さな声で呟いていたけど何だったんだろうか。先ほどから、少し慌てているような様子だしなぁ。
「そうそう、優君」
「何?」
「偶にはお姉ちゃんに甘えてもいいんだよ?」
姉さんはそう言うと、俺のことを急に抱きしめてきた。
「姉さん、誰かがここを通ったらどうするんだよ」
「この時間なら、多分来ないから大丈夫だよ。そんなことより、その手に持ってるジュースお姉ちゃんが一口飲んであげようか?」
「何でだよ?」
「いやだってそうしたら間接キスになるわけだよ?どう、ドキドキしない?」
姉さんはそう言うと、ニヤニヤしながらそう言った。まぁ、確かに魅力的な提案だ。っていけないいけない俺には美姫と天音がいるんだ。俺がそう一人悩んでいる間にも姉さんは柔らかいものを押し付けるようにして抱き着いてきている。
「い、今はしない」
「そっかそっか。じゃあ後で楽しみにしてるね」
「え?」
「だって今はって言ったじゃん。それに最近優君の家に行けてないけど、今日こそは行くからね」
「最近って言っても四日くらいだろ?何を大げさな」
「優君と四日も会えないお姉ちゃんの気持ちをもう少し理解してほしいなー」
姉さんはそう言うと両目を人差し指でそれぞれ隠すようにして鳴きまねをした。
「いや、嘘だろ」
「てへっ」
「てへじゃないよ、全く。まぁ、分かった来るのは別に構わないけど」
「やったー。今日は生徒会の仕事もないし一緒に帰ろっか?」
「いや、美姫と天音がただでさえそばにいて嫉妬の視線浴びてるのに姉さんまで来たらもっと大変なことになるだろ」
「えーでも二人だけずるいもん」
姉さんは不貞腐れるようにそう言った。流石にこれ以上悩みの種を増やさないでくれ。そう思ったけど、どうやらそう上手くは行かないらしい。
「一緒に帰るって認めてくれないと……目立つところで優君にキスしちゃうよ?」
「それはいろんな意味でまずいから辞めてね」
「いろんな意味ってどんな意味かなぁ」
「え、周囲からの嫉妬の視線と……純粋に恥ずかしいから」
俺がそう言うと、目の前にいる姉さんがニヤニヤと俺のことを見ていた。
「じゃあ、いいよね?」
「はぁ、分かったよ」
もうこうなった姉さんはそう簡単に意見を変えてくれない。俺はため息を吐きながら、彼女の提案を渋々承諾したのだった。




