#274:クリスマスの朝
「優君おはよー」
朝、目を覚ますと俺の目の前に美少女サンタがいた。サンタの服を着ているが、白髭は着けておらず、彼女の可愛らしい肌が目に入った。
「あ、天音!?」
「うん。おはよー優君」
天音はそう言うと、俺に向かってダイブしてきた。そして俺のことをギュッとすると、頬にキスをしてきた。あーそう言えば昨日は、天音と二人きりで寝たんだっけか。俺はそんなことを思いながら、彼女を起こしながら自身も体を起こす。
「随分大胆だな、天音」
「いいじゃん。だってクリスマスだよ?」
「クリスマス関係ない気もするけどな」
「むぅ。ムードを壊そうとする、悪い優君にはお仕置きだー!」
天音は頬を膨らませて少し不機嫌そうな様子を見せた後、俺の頬にもう一度キスをしてきた。
「おはようございます、優也君、天音ちゃん……ふふふ」
サンタ服を着た美姫が、俺たちがいる部屋へと入ってきた。彼女は俺たちがベッドの上でキスをしている俺たちを見かけると、微笑んで俺たちに近づいてきた。
「優也君。ちゅーです」
美姫は、彼女がいつも言わないような少し幼いセリフを交えながら俺にキスを迫ってきた。朝から恋人である美少女サンタ二人とイチャイチャして、眠気が吹っ飛んだ。
「あっ。やっと来ましたね先輩。遅いんじゃないですか!?」
「……全く。朝からイチャついていたのね」
「おはよう、お兄ちゃん」
サンタ服を着た茜、それからトナカイの服を着た瑠璃と千春が俺たちに声をかけてきた。
「月田さん、おはようございますですの!」
「ううう。月田様おはようございますですわ」
トナカイの服を着た美乃梨が、サンタ服を着ている北園さんを引っ張ってきた。物語とは逆だなと思い、俺は苦笑いを浮かべた。昨日、彼女のサンタ服を見たんだけど、やはりまだ俺に見られるのは恥ずかしいらしい。
別に俺もじっと見つめるつもりはないんだけども。あまりじろじろ見すぎて嫌われたくもないからね。
「あ、あの月田先輩」
「うん?」
俺が呼ばれた方を見ると、茜の後ろに隠れながらも緊張した様子で俺のことを見てくる亜里沙の姿があった。その隣で美穂さんが微笑ましいものを見るような表情を浮かべていた。二人ともトナカイの服装を着ている。
「に、似合っていますか?」
「うん。似合っていると思う。可愛いよ」
俺がそう言うと、亜里沙は顔を真っ赤に染めた。そして茜の後ろに隠れてしまった。そんな彼女を浮かべて茜は苦笑いを浮かべた。
「さてと、そろそろ朝食を食べましょうか。今日はクリスマスにちなんだお食事を用意しているので楽しみにしていてくださいね」
美姫は微笑みながらそう言った。そしてその直後、執事さんとメイドさんが入ってきて、俺たちのもとに配膳してくれた。
「あ。食パンがプレゼントボックスになってる!」
天音が嬉しそうにそうさけんだ。食パンは耳が切り取られていて、イチゴのジャムが十字にかけられていて、プレゼントボックスの結び目の部分である部分は、スイートポテトで出来ているらしい。
他にもいくつかの料理が出てきたが、手軽に食べられるものが用意されていた。美姫いわく、夜はチキンとかケーキとか、もっと豪華なものを準備してくれているらしい。今からとても楽しみだ。




