#273:北園さんにサンタ服を着せたい二人
美乃梨は大事そうにくまのぬいぐるみを抱きかかえていた。
「随分と上機嫌だな」
「月田さんに選んでもらったのがよっぽど嬉しかったんだと思いますわ」
俺の言葉に、北園さんは微笑みながらそう言った。美姫も微笑みながら、美乃梨のことを見ていた。
「月田さん、こっちにもいいものがありますよ」
そう言って美乃梨が見せてきたのは、サンタとトナカイの着ぐるみだ。
「お?いいんじゃないか?」
「月田さん。私にはサンタとトナカイ……どちらが似合うと思いますの?」
「うーん」
サンタとトナカイか……うーん、南園さんは美人だからどちらの服装を着ても可愛いと思うんだけどなぁ。
「交代で着ればいいと思いますよ。私も両方着てみたいですし、複数買いましょうか」
「いいんですの!?」
「ええ。クリスマス以外にも使うことになると思いますよ……ですよね、優也君」
美姫はニコニコとした表情を浮かべて、俺のことをじっと見つめてきた。ま、まぁサンタコスプレとかはあるけど……うん、まぁ何処かで使う機会はあるだろう。俺は無言でうなずいた。
結局数着ずつ、サンタとトナカイの服を買った。
「……それで、もしかしてこれ私も着なきゃいけないんですか?私は遠慮したいですわ」
「何を言っているんですの!?小百合も絶対着るべきですの。絶対可愛いと思いますの。そうですよね、月田さん?」
美乃梨は俺の方を見て、笑顔でそう言った。美姫も隣でうんうんと首をかしげている。俺は北園さんのことをじっと見つめた。
「……そりゃあ似合うと思うけど」
俺がそう言うと、北園さんの顔が真っ赤に染まった。
「ななな!?何を言っているんですか?わわわ、私が可愛いなんてそんなわけないですわ」
「顔が真っ赤になっていますの、小百合。無理をせず、素直にうれしいって言った方がいいですの」
美乃梨は北園さんを面白いものを見たかのような表情でからかっていた。美姫は何も言っていないけど、それなりにこの状況を楽しんでいるみたいだ。
「ま、まぁ。嬉しいのは間違いないですわ」
北園さんはプイっと視線を逸らしながらそう言った。そしてそそくさとカゴを持って、レジの方へと行ってしまった。俺たちは彼女の後を追って、レジの方へと向かった。
「ふん、ですわ」
「機嫌を直してほしいですの、小百合」
「美乃梨のせいですわ」
北園さんは、美乃梨に対して怒っている……というよりは、どちらかと言えば拗ねている様子だった。
「もう。神無月様も何か言ってほしいですわ」
「え?私……ですか?」
「辞めといたほうがいいと思うよ。美姫も美乃梨側の人間ですか」
「た、確かにそうでしたわね」
俺の言葉に、北園さんは困ったようにそう言った。
「えー。何でですか、酷いですよ優也君」
「美乃梨が北園さんに色々言ってた時に、面白そうに見てたでしょ」
「むむむ……それを言われると厳しいですね。仕方ないです、今はとりあえず諦めましょう」
美姫はため息を吐きながらそう言うと、俺の横に移動して腕を絡ませてきた。




