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#258:亜里沙は緊張する

 美姫の両親は、今日からまた仕事らしい。昨日戻ってこれたのは本当はハロウィンにしたかったけど、予定が合わなかったとのことだ。次はクリスマスと意気込んでいたんだけど、美姫のお母さんが「クリスマスは恋人同士の方がいいと思いますよ」と言ったことで、二人は年末に戻ってくることになったらしい。


 まぁ確かに美姫の両親には申し訳ないけど、クリスマスは恋人と一緒にイチャイチャしながら過ごしたい。




「お邪魔しまーす、美姫先輩」

「お、おじゃまします。神無月先輩」


 翌日、朝の九時半過ぎに後輩コンビ二人が美姫の家に遊びにやってきた。


「お、大きい家ですね」

「亜里沙、入ってきたときビックリしてたもんね」

「そりゃあ、ビックリするよ。そういえば月田先輩の家に行った時に大きい家があったなぁとは思ってたけど、まさか神無月先輩の家だとは思わなかったし」


 亜里沙は先程から茜の後ろに怯えるように隠れていた。そんな彼女の様子に俺は苦笑いを浮かべた。美姫は慣れた様子で、亜里沙に声をかけていた。


「あまり気にする必要はありませんよ。友達として来ているわけですから、遠慮しないでください」

「は、はい」

「そーそー。あまり気にしなくても大丈夫だよ。美姫先輩優しいから」

「ふふふ。優也君に敵対しなければ、基本的に私は優しいですよ」


 美姫は微笑みながら言った。亜里沙は美姫の言葉に対して、困ったような表情を浮かべていた。


「亜里沙ちゃんは何かやりたいことはありますか?」

「や、やりたいことと言われましても」


 亜里沙はそう言うと、茜の後ろに隠れながらも俺のことをチラチラと見てきた。


「だ、大丈夫?」

「は、はい。……あの先輩手を握ってて欲しいです」

「あ、うん。分かった。……美姫、とりあえず部屋に行こうか」

「はい、分かりました。それでは亜里沙さん案内しますね」


 美姫はそう言うと部屋へと向かった。俺と亜里沙、それから他のメンバーは彼女を追いかけるように後をついていった。




「ここが神無月先輩のお部屋ですか」

「あまり物はないですけど、ゆっくりしていってください」

「は、はい」


 亜里沙はやはりまだ緊張している様子で、辺りを見渡していた。


「優君。ぎゅーってしよー」


 そんな亜里沙を見守っていると、突然天音が俺に抱きついてきた。どうやらやることがなくなったから、俺とイチャイチャしたくなったらしい。やっぱり天音はかわいいな。


「えっと。まぁ二人はおいておいて何しましょうか?」

「え、えっと」

「うーん。何か話せることはないかしらね……とは言っても亜里沙さんは緊張している様子だから、私たちの誰かが話を作ったほうがいいわよね」

「え。えっと、先輩のことが知りたいです」


 瑠璃の言葉を遮るようにして、亜里沙が言った。


「……俺のこと?」

「はい。好きな人のことは知っておきたいですから」


 亜里沙にそう言われて、俺は少し恥ずかしくなった。それならば昔の話でもするか?


「そうだな。じゃあ折角だから、美姫と出会う前の、話をしようかな」

「美姫ちゃんと出会う前の話?」


 俺の言葉に天音が首を傾げた。美姫と会った頃の話は、瑠璃たちに話したことはあったんだけど、天音と会った時の話はしたことがなかったんだよな。


「それは私も興味ありますね」


 俺の言葉に、美姫が興味津々といった様子で俺のことを見てきた。


「分かった。話すから。まぁ、美姫と会った時の話もそうだけど、完璧に覚えているわけじゃないから、聞いた話も含まれているんだけどね」


 俺は全員に軽くそう伝えた後、話を始めた。


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