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#253:瑠璃の修業


「ご馳走様でしたー!」


 お昼を食べ終えた後、天音が元気よく言った。美味しそうに食べてくれる彼女と美穂さんを見て、こっちまで嬉しくなった。美姫が言っていたことが少し理解できるかもしれない。




「優君、午後は何して遊ぼっか!?」

「そうだな。最近見てなかったから、久しぶりに映画とか見ないか?」

「あ、面白そうかも。優君、何かいい映画ある?」

「うーん、これとかかな」


 俺は映画一覧から今おススメの映画を幾つか選んだ。


「ホラー系統は……天音ちゃんが怖がりますよね?」

「う、うん。怖いのは嫌」

「偶にはコメディとかどうだ?」

「確かに、恋愛映画はそこそこ見ているので、偶には路線を変えてみるのも悪くないかもしれませんね」


 俺の意見に皆が賛成したことで、コメディ映画を見ることになった。




 結論から言って、滅茶苦茶面白かった。天音は大笑いしていたし、美姫も美穂さんも笑っていたので、いい映画を選べたとホッとしていた。


「あ、そろそろ私は帰りますね」

「え?泊っていけばいいのに―」


 帰ろうとする美穂さんに、天音がそう言った。美穂さんは申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「今日は家に帰ってしなきゃいけない作業が残っているから、そろそろ帰らないといけないの。ごめんね、天音ちゃん」

「そういうことなら仕方ありませんね。天音ちゃん、無茶を言って加賀美先生を困らせてはいけませんよ」


 いつの間にか美穂さんのことを加賀美先生と呼んでいる。彼女が仕事のために帰るからか、しっかりと線引きをしているようだ。確かに、そこら辺をしっかりとしてないと間違って教室とかで美穂さんと呼んでしまうかもしれないからな。


「うぅ、分かった」

「ごめんね、東条さん。それじゃあ、私は行くね」


 先生はそう言うと、荷物をまとめて部屋から出て行った。俺たちは玄関まで彼女を追いかけて、見送った。


「それで二人はどうするのか?」

「夜からは瑠璃さんも来れるみたいなので、一緒に夕食を食べようかなと思っていたんですけど」

「うん。瑠璃ちゃんが料理を作ってくれるんだよね」

「え?そうなのか?」

「はい、もう少しで準備ができるみたいなので、家に行きましょうか」


 俺は美姫と天音に連れられて、美姫の家へと向かった。




 美姫の家の敷地に入り、広い中庭を抜けた後、彼女の家の中へと入った。そしてそのまま俺たちは食堂の方へと向かった。既に席が用意されており、俺を真ん中にして三人で横に座った。




 五分ほどが経過すると、食堂の扉がゆっくりと開かれた。


「お待たせしました。本日の夕食をお持ちいたしました」


 カートに料理を乗せた状態で運んでいる、メイド服姿の瑠璃がいた。彼女は少し恥ずかしそうにしながらも、真面目な様子でそう言った。


「あー、瑠璃ちゃん可愛い」

「そ、そう。月田君もそう思うかしら?」

「ああ。可愛いと思うぞ」


 俺がそう言うと、瑠璃は顔を真っ赤にした。


「そ、それならメイド服を着たかいがあったわね」

「何で瑠璃はメイド服を着ているんだ?」


 俺は瑠璃には聞こえないほどの小さな声で、隣に座っている美姫に聞いた。


「ああ。彼女は今家でお料理の修行中だそうですよ?元々レベルは高いんですけど、優也君のために更に頑張っているらしいです」

「そっか」

 

 好きな娘が俺のために努力してくれているという事実に喜びを隠せない。


「ど、どうしたのかしら。そんなにニヤニヤして」


 ニヤニヤしていたのを瑠璃に見られたのか、彼女は怪訝な表情を浮かべてそう言った。


「いや。俺のために料理頑張ってくれてると思うと嬉しくてな」

「ま、まぁ。月田君には喜んでほしいから……って美姫さん、月田君に伝えたのかしら?」


 瑠璃がハッとした表情でそう言うと、美姫はクスッと笑いながらごめんなさいと言っていた。


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