#249:休日の訪問
「お、お邪魔しまーす」
翌日、家に加賀美先生が遊びに来た。
「いらっしゃい、加賀美先生」
「ふふ、お邪魔させてもらいますね」
「おはようございます、加賀美先生」
「神無月さんに東条さんもおはようございます」
朝早くから美姫と天音も遊びに来ており、先生に挨拶をしていた。先生も嬉しそうに挨拶を交わしていた。
「朝から皆さん揃って遊んでいたんですか?」
「はい、そうですね。基本的に私たち三人は、私か優也君の家で遊ぶことが多いですから」
キッチンの方から千春が歩いてきた。彼女はお盆を手にしており、そこには四つのコップが置かれていた。
「あ、ありがとうございます千春ちゃん」
「ありがとー千春ちゃん」
美姫と天音が彼女からコップを受け取った。
「あ。えっと、ありがとう。貴方は月田君の妹さんかな?」
「は、はい。月田 千春って言います。中学校三年生です」
「三年生。そっかそっか。じゃあ今年は受験なのかな?」
「はい。お兄ちゃんたちと同じ学校を目指して頑張ってます」
「ふふ、そっかそっか」
千春の言葉に、加賀美先生は嬉しそうに言った。自分が教師として教えている学校に入りたいと言っている娘を目の前にして、嬉しいんだろう。
「加賀美先生も教えてくれるようになるんですか?」
「うーん。私は多分千春ちゃんのお兄さんたちをそのまま受け持つことになると思うから、難しいとは思うけど……まぁ、教えることもあるかもしれないかな」
「とりあえず、千春は勉強を頑張らないとだな」
「まぁ、そうだね。とりあえず、勉強してくるね」
千春はそう言うと、二階へと上がっていった。
「皆はいつもどんなことをしているのかな?」
「そうですね……いつもはゲームとかをすることが多いですかね?後はまぁイチャイチャしたりもしますけど」
「イ、イチャイチャ!?」
イチャイチャという言葉を聞いて、顔を真っ赤にしながら動揺したように加賀美先生が言った。
「そそそ、それはまさか。お、大人の」
「いやいやいや、そんなことはしていませんからね!?」
加賀美先生が焦ってとんでもないことを言いかけたので、俺は慌てながらもそれを遮るように言った。
「そういうことをしても私は構わないんですけど、優也君が学生の間は駄目と言っていたので」
「そうだそうだー!私も優君と大人がするようなことしたい!」
美姫がシュンとしたように言った。天音は期待するような目でこちらを見てきた。
「……恐らく意味の分かってないであろう天音ちゃんはともかく、私たちはまだキスくらいしかしていませんよ」
「そ、そっか。それならいいのよ、うん」
先生は気持ちを静めるためか、自分自身に言い聞かせるように言った。そんな彼女を美姫はじーっと見つめていた。そして、何かひらめいたような表情を浮かべた。
「あ、気持ちいいんですよ。優也君とのキス。何というか、こう幸せな気持ちになれるんです。加賀美先生も試してみますか?」
「ふ、ふえっ!?いやいやいや。その迷惑でしょうから」
「でも気にはなっているんですよね?」
「そ、それは……」
加賀美先生は俺のことをチラッと見た。そして俺と目があうとあからさまに動揺した様子で目を離した。
「……だそうですよ?」
「だそうですよ……じゃないでしょ。美姫さん?」
「ふふふ、冗談ですよ」
美姫はそう言っているが、彼女の笑みから察するに恐らく冗談ではなかったのだろう。加賀美先生には効果があったようで、しばらく顔が真っ赤だった。




