#24:5人の約束
前半は美姫ちゃんと天音ちゃんの二人がメインです。
「あ、皆さん楽しんでいますか?」
「私たちも十分楽しんできたよ」
美姫と天音は二人で回ってきたらしい。元々二人と遊びに来るつもりだったのに、気づいたら渡会と小泉に振り回されて二人と遊んでいなかったな。
「それじゃあ、優君。今度は私たちと一緒に遊ぼ」
「そうですね。優也君、お願いできますか」
「ああ、それは構わないけど何をするんだ?」
「ふふふ、それはねぇ」
天音にそう言われ、俺は彼女たちに手を引かれて移動した。
「これは……エアホッケー?」
「そう、てことで優君勝負だよ!私と美姫ちゃんに勝てるかなぁ?」
天音はそう言うと、台の所に立った。俺が反対側に立つと、美姫がお金をいれた。
「とりゃっ!」
「うわっ!?早すぎないか?」
「えへへ、どんどん行くよ」
はい、完敗しました。滅茶苦茶パックが早くて、全然止められる気がしなかった。
「次は私の番ですね」
「何か嫌な予感がするんだけど」
美姫は、ウキウキした表情でそう言ってきた。しかし、俺は嫌な予感がしていた。
「やっぱ、こうなりますよね」
「ご、ごめんなさい優也君」
「いや、謝るな。俺が弱いのが悪いんだ」
はい、やっぱり負けました。天音の時ほど点差は付けられなかったけど、俺は点数を入れることができなかった。一撃で決めに来る天音とは反対に、美姫は堅実に点数を取りに来るタイプだった。しかも守りが固く、不意をつけたと思っても逆にこちらが決められてしまった。
この二人は強すぎないだろうか。それとも俺が弱いのだろうか?いや、そんなことないと思うんだけどなぁ。
「はぁ、楽しかったぁ」
「そうですね、また三人でやりましょうね」
「うん、次は負けないからね美姫ちゃん」
「望むところです」
「……勘弁してくれ」
あの後1回ずつローテーションをするような形で行った。俺は勿論、二人に勝つことはできなかった。ちなみに、美姫と天音はどちらも僅差で美姫が勝利していた。
「そろそろ帰りましょうか」
「あ、ちょっと待って。最後にあれやりたい!」
天音はそう言うと、とある機械を指で刺した。あれはプリクラか。
「あれなら時間もかからないですし、構いませんよ」
「やった。優君も一緒に行こ」
「お、俺も行くのか?」
「勿論だよっ!」
天音はそう言うと、腕を絡めてきた。腕に柔らかい感触があり、ついつい気恥ずかしい気分になってしまう。
「あーこんな所にいたんですね」
「小泉さんが何を仕出かすか分からなかったから監視していたら、いつの間にか見失ってしまっていたわ」
「ちょっと、それ酷くないですか!?……そんなことよりも、皆さんはここで何をしているんですか?」
「時間的にも遅くなってきたので、最後にプリクラを撮ろうかなと」
「プリクラですか。いいですね、先輩の顔に落書きしたいです」
「あ、あのな。どうせ変な落書きをするつもりだろ?」
「あっ、バレちゃいましたか」
小泉は舌を出して、あざとくそう言った。
「折角だし、渡会さんも撮らない」
「そ、そうね。でも私撮ったことないから、やり方はよく分からないのだけど」
「機械の指示に従ってポーズするだけだから問題ないですよ」
「それってキキキ……キスとかは要求されるのかしら」
それは恋人モードとか選択しないと出てこないと思うけどなぁ。少なくとも大人数でとれるものでは絶対に出てこないぞ。本当に撮ったことないんだろうな。まぁ俺も美姫と天音以外と撮ったことはないけど。
そして俺たちは何枚か撮った。美姫が文字を書き、それを印刷した。
「ふぅ、楽しかったな」
「うんうん、また皆で来たいね!」
「そうですね。また是非皆さんで来ましょう」
「賛成です。また一緒に行きましょう。先輩、約束ですよ」
「はいはい」
さりげなくそう言う彼女に、適当に相槌を打った。
「その時は私も混ぜてもらえるかしら?」
「勿論だよ」
渡会が不安そうに言うと、天音がそう言った。その言葉を聞くと、渡会は嬉しそうな表情を浮かべていた。




