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#23:クレーンゲーム

「先輩、まずはクレーンゲームをしましょう。勿論先輩のお金で」

「いや、自分で払えよ」

「そうね。人からお金を巻き上げようとするなんて……あまりいい趣味とは言えないわよ」

「むぅ、しょうがないですね。女の子はオシャレにもお金を使うんですよ?」

「貴方がむしろかけすぎなだけよ。最低限でも十分可愛く見せることはできるわ。最も、学生にそんなものは不要でしょうけど」


 これはまた二人が口論始めちまうなぁ。これは、少し話題を元に戻した方がいいだろう。


「分かったから喧嘩するな。二人に、五百円玉一枚ずつ渡す。それで六回ずつ出来るだろ?」

「流石先輩。分かってますねぇ」

「いいのかしら?」

「まぁ、これは俺が奢りたいから奢るだけだ。引け目なんて感じずに、楽しんで来いよ」

「そ、ありがとう」


 渡会はそう言うと、嬉しそうにクレーンゲームを見て回り始めた。


「さてと、どれを取りましょうか先輩。あの、ハムスターのぬいぐるみ何てどうでしょうか?」


 小泉はそう言うと、クレーンゲームの中にあるぬいぐるみを指さした。うん、十分いいと思う。


「うん、いいと思うよ」

「それじゃあ、先輩取ってください」


 小泉はクレーンゲームにお金を入れるとそう言った。


「は?いやいや、お前がとらないのかよ?」

「あ、私こういうのがらっっきし無理なので。お願いします、先輩」


 小泉はそう言うと、頭を下げてお願いしてきた。普段こいつに揶揄われてばかりだったから、彼女にこうも真面目にお願いされると少し困惑してしまう。しかし、まぁ偶にはこの生意気な性格の後輩にカッコイイ姿でも見せてやることにしよう、


 それにクレーンゲームは結構得意だったりする。俺は彼女の欲しがっていたハムスターのぬいぐるみを一発で取った。


「うわ、先輩凄いです。流石私の先輩です」

「そうか?」

「そうです」


 小泉はそう言うと、俺の腕に抱き着いてきた。


「ふふん、私に抱き着かれるなんて役得ですね先輩」

「お、お前なぁ」

「まぁ今日は機嫌がいいんで、叫ばないであげます。そんなことよりも後5回も出来るわけですし、先輩取っちゃってください」

「結局、俺がやるのね」


 結局残り五回で、取れたのは二匹だった。二匹目も一回で取れた。ただ、小泉は白いハムスターが欲しいらしく、三匹目はそれを狙った。しかし、これがまた非常に取りにくい位置にあり回数ギリギリで何とか取ることができた。


「えへへ、ありがとうございます先輩」

「おう」


 小泉は俺が取った三匹のハムスターのぬいぐるみを大事そうに抱えて嬉しそうにしていた。ちなみに、色は白、黄土色、灰色の三匹だ。


「あら、そちらも終わったのかしら?」

「おう」


 そう言う渡会は、ピンク色の小さな熊のぬいぐるみを抱えていた。


「一匹しか取れなかったけれど、十分楽しめたわ」

「私は先輩に盗ってもらいました。先輩からの愛のプレゼントです」

「なっ!?どういうことかしら、月田君」


 渡会が俺のことを鋭い目で見てきた。俺が事情を説明すると、彼女がずるいと言い始めた。


「小泉、一匹上げてやってくれないか」

「えぇ~嫌です」

「新たに取ってもらうからいいわ。月田君取って頂戴。お金は私が払うから」


 俺は彼女の腕を引っ張られて、クレーンゲームで猫のぬいぐるみを取った。


「ありがとう月田君。大事にするわね」

「おう、そうしてくれ」


 俺がそう言うと、彼女も嬉しそうな表情を浮かべていた。その間小泉はムッとした表情を浮かべていたが、触れるとまた喧嘩が起こりかねないので黙っておくことにした。

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