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#214:休み明けの学校

「うぅ。疲れたよ~」

「もう少しですから、頑張ってください天音ちゃん」

「それにしても久しぶりに学校に行くね」

「だな」


 俺と美姫と天音と姉さんと瑠璃の五人は、朝学校に向かっていた。今日は夏休み明け最初の登校ということもあってか、俺たちは少々の気怠さを覚えていた。


「姉さんは生徒会の仕事はないの?」

「うん。今朝は特にないかな。まぁ、もう少しで引き継ぎだから、その後は生徒会の仕事はなくなって楽になるかな」

「そっか。まぁ、受験だもんな」


 生徒会の仕事が終わるからと言って別に姉さんが楽になるかどうかと言えば、そうはならないだろう。むしろ受験の為に、勉強時間を増やさなければならないだろうから大変になるだろう。


「そっか……明日香ちゃん勉強夏休みも頑張ってたもんねー」

「まぁまぁ。塾に行くつもりもないから自分で勉強しないといけないからね。まぁ自分で行きたいところを目指して勉強するだけだからそんなに苦痛ではないけどね」


 姉さんはあっさりとそう言った。やっぱ姉さんって時々カッコいいよな。俺だったらそんなセリフを絶対言えない。


「ええ~私は無理だよ」

「そう言う天音さんも成績は良いと思うのだけれど」

「それは頑張ったら優君に褒めてもらえるからであって、勉強自体は嫌いだもん!」


 天音は困ったようにそう言った。でも天音っていざ皆でテスト勉強をするってなっても最初から結構問題は解けるから、授業はまじめに理解して聞いているんだよな……多分。


「まぁどんな目的でも、勉強のモチベーションを保てる理由があることは良いことだと思うよ」


 姉さんはそんな天音を見ながら笑顔でそう言った。




 校舎に入って入口の所で姉さんと別れた後、俺たちはそのまま教室へと向かった。夏休み前であれば、既に瑠璃が椅子に座って本を読んでいただろうが、今は俺たちと一緒に登校していた。


 瑠璃がもともと早く来ていたのは、家で両親と長い時間いたくなかったというのも理由の一つであったらしい。でも神無月家に居候している以上、むしろ一緒に登校したいと言っていた。


「友達と一緒に登校する日が来るなんて思ってもいなかったわね」

「え〜。そうかな?瑠璃ちゃんが早いだけじゃない?」

「それはそうだけれど。でも貴方たちもまあまあ早い方ではあると思うのだけれど」

「まぁ、私たちは通勤時間が短いのと、この時間なら周囲からの視線が少なくて済みますから」


 美姫の言葉に、瑠璃は俺を見て納得したような表情を浮かべた。表面上では美姫だけと付き合っていることになっているわけだけど、天音とも一緒にいるのでどうしても目立ってしまう。二人とも普通に可愛くて目立つからな。


 二人と付き合っているなんて知られた日にはと思い、内心ビクビクした日を過ごしていた。しかし今日からはそれの比ではなかったりする。


「先輩!」

「あ。茜ちゃんおはよー」

「おはようございます」


 茜が俺たちの教室に入ってきた。今日はいつもより少し早い気がするな。


「愛しの先輩に会いに来ちゃいました」


 茜は声を小さくして、俺たちにしか聞こえないくらい小さい声でそう言った。茜が来るまでの間に教室には俺たちの他にも何人か入ってきていた。今の茜の話の内容聞かれているかと思い、俺は恐る恐る辺りを見たが、こちらを見ている人はいなかった。


「まったく。学校外でそういうことを口に出してはいけないとあれだけ話したのに、少しお仕置きしたほうがいいかしら?」


 瑠璃が呆れたようにそう言った。茜はひいっと怯えたような声を出した後、俺の後ろに隠れた。

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