#206:葵からの連絡
何話ぶりですかね、この二人……
「あれ、葵からメールが来ているな」
俺はスマホのメッセージアプリを開くと、葵からメッセージが来ていることに気づいた。俺は内容に目を通した。
今度遊びに行かないかという趣旨の内容だった。何でも葵の友達が、俺と美姫と是非一緒に遊びたいとのことだった。
『俺と美姫が、何でだ?』
『僕の友達とも遊びたいらしくって、優也君もと。ただこっちが二人だから、そっちも二人ってことらしいよ……?』
な、何か適当だな。話を聞いていると、どうやら葵の友達というのはクラスメイトの女子らしい。俺だけじゃなくて美姫も誘っていることから、ダブルデートのような感じもする。しかし、葵の口からはデートっぽい感じは伺えない。
『分かった。とりあえず美姫にも聞いてみるよ』
『うん。分かった』
俺はメッセージを送信した後、スマホの画面を消した。とりあえず美姫に確認を取ってからだな。葵は高校で唯一の男子の友達だから、彼からの頼みとあれば俺としてはかなえてあげたい。
「葵君とクラスメイトの女子と一緒に遊びに行くんですか?」
「え、えっと……それは構いませんけど。葵君と仲の良い女子って思いつかないんですね」
「そうだな」
俺も葵が特定のクラスメイトの女子と仲良く――というか、他のクラスメイトと仲良く話しているところをほとんど見たことない。
葵からメールを貰った日から四日後、俺たちは集合場所である駅前へと向かっていた。
「二人きりで休日に外を歩くのも久しぶりですね」
「そうだな。まぁ、すぐに葵たちと合流するわけだけど」
「それでは目的地までは二人きりですね」
美姫はそう言うと、少し照れた表情を見せた。そんな彼女の表情も可愛らしい。俺は彼女をジッと見つめながら、やっぱり美姫のことが好きなんだなぁと改めて思った。
「えっとここでいいんだよね?」
「そうみたいですけど、まだ来ていないみたいですね」
集合場所に着いた後、周囲を見たんだけど葵らしき姿は見当たらなかった。しばらくの間俺たちは、二人きりで手をつなぎながら葵たちの到着を待っていた。
「あ、いたいた。優也君!」
それから五分程経った後、手を振りながら小走りで俺たちの元案で駆け寄ってきた葵の姿があった。
葵は俺たちの前まで来ると、膝に手をついて息を切らしていた。
「ごめん、遅くなっちゃって」
「大して待ってないから大丈夫だけど……もう一人来るんだっけ?」
「う、うん」
俺が葵に確認を取ると、彼は頷いた。
「やっほー」
その直後、後ろから声がした。俺はビックリしながらも後ろを振り返ると、そこには確かにクラスで見たことがある少女が立っていた。彼女は真里菜や美姫とは違って、クラスの中心にいる人物だ。
「月田君に神無月さんだよね。今日は二人と一緒に遊べることを楽しみにしてたんだー」
彼女はそう言うと、美姫の両手を取った。俺たちはクラスで彼女や、彼女たちがよく話しているメンバーと話すことはあまりないんだけど、そんなことはお構いなしに彼女はグイグイと話しかけてきた。
「それじゃ、皆で遊びに行こっか!」
「島田さん。一応名乗っておいた方がいいんじゃ?」
「え?クラスメイトだからって、確かに学校じゃまともに喋らないからね。アタシは島田 由貴。さて、自己紹介も終わったから早速行こっか」
彼女はそう言うと、葵君の手を取った。突然の彼女の行動に呆気に取られていた葵だったけど、心なしか彼の顔が少しだけ赤くなっているように見えた。




