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#202:デートの約束


「デートと言うものをしてみたいんですの!」

「お、おう。そうか」


 南園さんは突然俺にそんなことを言い出した。すると美姫は考えるような仕草を見せた。


「物は試しです。三人で行ってみてはどうでしょうか」

「いいんですの!?って……三人ですの?」


 南園さんは不思議そうに首をかしげた。俺も彼女の言う三人という言葉に引っかかったのだが、行ってみてはと言っている当たり、美姫が含まれているわけではなさそうだ。


「三人っていうのは?」


 困った俺は彼女に聞くと、美姫はクスッと笑った。すると、北園さんがこちらに歩いてきた。


「何か楽しそうなお話をしていますわね」

「あ、彼女が三人目です」

「え?私が三人目って何の話ですわ?」


 北園さんは訳が分からないとばかりに、俺たちを見た。


「優也君とお二人でデートをするって話ですよ」

「え、聞いてないですわよ!?」


 北園さんは驚いたようにそう叫んだあと、俺のことを見た。


「いや、俺も知らなかったわ」

「と、というか私と美乃梨が月田様とデートすることになったのか、話が見えてきませんわ」


 北園さんが困ったようにそう言うと、美姫が先程の話をした。すると北園さんは頭を抱えた。そして、南園さんの腕を引っ張るようにして、俺たちのそばから離れた。そして二人で何やらコソコソと話をしていた。


「貴方、デートの誘い方が少し下手過ぎですわ」

「仕方ないですの。初めて恋というものを経験して、どうしていいか分からないんですの」

「今までの元気な美乃梨は何処に行ったんですわ。まぁ、いいですわ。二人きりにしておくと、貴方が何をしでかしたりするか分からないから一緒に行きますわ」


 何か話を終えると、俺たちの元に戻ってきた。


「分かりましたわ。私と美乃梨で月田様とデートに参加しますわ」

「え?」


 北園さんはデートに乗り気じゃなさそうだったから、意外だった。すると彼女は不機嫌そうな表情を浮かべた。

「私とデートに行くのが嫌そうですわね」

「いやいや。北園さんこそ乗り気じゃなさそうだったから……」


 俺がそう言うと、彼女はそういうことかと案っ得したような表情を浮かべた。


「大丈夫ですわ。私だって、デートを試してみたい気持ちはありますわ」

「そうなんですの!?」

「美乃梨、貴方は黙っててほしいですわ。……ただ、三人でデートとかは想像したことが無かったので少し困惑していただけですわ」


 北園さんは苦笑いを浮かべながらそう言った。確かに、これが普通の反応だろう。俺の彼女たちや南園さんは異常なまでに、適応するのが早かっただけでこれが普通の反応だろう。


「嫌なら無理しなくても……」


 俺がそう言いかけると、彼女は人差し指を俺の唇に当てて、俺が続きを言うのを止めた。


「これは本心ですわ。だから、貴方は余計なことを考えずに、楽しいデートプランを考えていただけると嬉しいですわ」

「わ、分かった」

「勿論、私と美乃梨もいくつか考えて起きますわ。ほら、美乃梨行きますわよ」

「あっ。それでは小百合とデートプランを考えてくるのでこれで失礼しますの」


 そう言って二人は部屋へと戻っていった。


「ふふふ。モテモテですね、優也君」

「いや、ただただ恋愛体験の相手に選ばれただけだろ?」

「ある程度の好感度がないとこんなことしませんよ?」


 美姫は笑顔でそう言った。まぁ南園さんも北園さんもデートそのものに興味を持っていそうな様子だったし、精一杯楽しんでもらうためにも、俺も何をするか考えておかなきゃだな。


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