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#199:南園さんの恋愛体験

 南園さんはそう言うと俺を壁際に追い詰めるように徐々に距離を縮めてきた。


「月田さん。まずはハグからしてみたいですの!」


 南園さんはそう言うと、俺のことをぎゅっと抱きついてきた。繊細なものを扱う様にに優しい感じで抱きついている。そして彼女はジッと俺のことを見つめていた。


「付き合ってもない男女がハグをするのって、あまりよくないんじゃ」

「何を言っているんですの?海外では当たり前の文化ですの」

 

 はてなを浮かべた状態の南園さんは、さも当然とばかりにそう言った。


「ここは海外じゃないんだけど……」

 

 複数彼女がいるやつが何を言っているんだと思われるかもしれないけど、複数彼女がいるからこそより一層皆のことを裏切りたくないという気持ちが強いというのは分かってほしい。だからこそ、少々神経質になりすぎているのかもしれないけど。


「物は試しですの!」

「ちょっ、ちょっと!?」


 慌てふためく俺をよそに、南園さんは俺の頬をくっつけると、こすり合わせるようにしてきた。いや、海外の人でもここまではやらないと思うんだけど、どうなんだろう?


「流石に、距離が近くないか?」

「恋愛を試す為ですもの。これくらい、いえもっと凄いことまでするつもりですの!」


 南園さんは逃がさないと言わんばかりに、ギュッと俺のことを抱きしめた。俺は彼女にとっての都合のいいおもちゃみたいなものなのだろうか?


「それにしても、ハグって結構ドキドキしますの」

「そ、そろそろ離れるっていうのは」

「嫌ですの。もう少しこの感覚を味わっていたいんですの……」


 南園さん?――彼女は俺の肩に顔を埋めるようにして、目線をそらした。どうやら恋愛のお試しをしている間に、恥ずかしくなってしまってきたらしい。


「も、もういいか」

「いいえ、まだですの!これくらいで辞めたら、恋愛を理解できませんの!」

「い、いや顔赤いけど」


 俺が南園さんに頬がうっすらと赤くなっていることを伝えると、一瞬で彼女の頬はさらに赤みを増した。


「見ないでほしいですの!」

「この状況で無理があるだろ」


 見ないでほしいと言われているが、依然南園さんに抱き着かれたままなので顔を背けることぐらいしか出来ない。しかし顔を背けても、ギリギリ視界の端に映ってしまって完全に意識を別のことに向けるのは難しかった。


「そ、それじゃあ次は手をつないでみてほしいですの」

「ま、まぁそれくらいなら」


 そう言うと、南園さんは一度俺から腕を離して、手を差し出してきた。ビーチの時も彼女に手を引かれたし、これくらいならまぁ問題はないだろう。……そう思っていた。



「これで良しですの」


 南園さんは、指と指を絡ませた恋人つなぎをしてきた。え、えっと南園さん?俺は彼女の方を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていた。


「え、えっと大丈夫か?」

「ええ、これくらい大丈夫ですの。きゃっ!?」


 大丈夫だとステップを踏みながらそう言った彼女だったが、次の瞬間躓いてしまった。俺はすぐに彼女を抱きとめた。


「おっと。大丈夫か?」

「……これはずるいですの」

「え?」

「な、何でもないですの!もう充分分かりましたの!」


 南園さんはそう言うと、手を離した。しばらくの間彼女は俯いてしまって、しばらく無言だった。俺たちの間にはしばらくの間静寂の時が訪れた。


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