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#180:香音の将来設計

「はー美味しかったですね、お兄様」

「ああ、そうだな」


 ケーキを食べ終えて、香音はお腹をさすりながらお腹いっぱいだと言った。途中から俺がお腹いっぱいになってから、もう少し食べていたからな。スイーツは別腹とは言うけど、香音の何処に吸収されているのだろう。


「どうかしましたか、お兄様?」

「いや、何でもない。それよりも、どうしようか?」


 俺たちがカフェに入ってからおよそ三十分。確か天音たちのお店は一時間のケーキバイキングだったから、もう少し時間はかかるだろう。


「そうですね……一杯食べたので、公園に散歩にでも行きませんか?」

「あーいいかもな。……というか、食べ過ぎてちょっと気持ち悪いし」

「それじゃあ、決まりですね。行きますよ、お兄様」


 香音はそう言うと俺の手を取って、公園までの道のりを歩き始めた。




「それにしても、久しぶりだなこっちの公園は」


 家から見て、駅を挟んだ反対側に位置しているこの大きな公園に来ることは、小さい頃も、あまりたくさんはなかった。家の近くに小さな公園があり、俺と天音が公園で遊ぶときはそっちを利用していた。


 美姫と友達になってからも数回は行ったんだけど、結局美姫の家の庭の方が安全でかつ広いということもあって、そっちで遊ぶことになってしまった。


 それだからか、凄く懐かしく感じる。昔遊んでいた遊具は、すっかりとサビてしまっているが、撤去されていたりということはなく、昔のままほとんどが残されていた。



「たくさん子供が遊んでいますね」

「そうだな」


 小学生ぐらいの子供たちがワイワイ遊んでいり、赤ちゃんを連れた人がベンチに腰かけていたりと、使用用途はさまざまであるけど、皆楽しそうに騒いでいる。


「将来、私たちの子供が出来たら……ここにも連れてくるんでしょうか?」

「え?」

「別にいいじゃないですか。もう私の気持ちは伝えているんですから、こう思ってても不思議ではないですよね?」

「まぁ、それはそうなんだけど……付き合ってもないのに子供って早くないか?」

「そうですか?これくらい皆していると思いますけど?」


 香音は首をかしげて、俺の意見に対して不思議そうな様子でそう答えた。そういうものなのか?


「それで、どうなんですか?子供連れてくるんですか?」

「公園に行くんだったら、多分家の近くの方の小さい公園に連れて行くと思うよ」


 どちらかと言えば、そっちの方が天音や美姫との思い出がたくさん詰まっている場所だからな。


「でもまぁ、美姫の家の庭で遊ばせるかもしれないな。公園よりも全然広いから」

「あー……それを言われると少し納得できますね」


 香音が呆れたようにそう言った。


「その為にも、お兄様との愛を深めるべきだと思うんです!」

「うん。……香音ってそんなキャラだっけ?」

「自分でも柄じゃないってことは分かっていますよ。でも、長年蓋をしてきた想いを全て言ってしまったので、気持ちの整理が出来てないだけだと思います」


 香音は力説するようにそう言った。というか実はまだ付き合うかどうかの判断をしていないし、返事もしていなかったりする。数日前まで、あんな感じだった香音に告白されても、まだ本当か少し疑ってしまっていたところがあった。


「まずはお兄様が私と付き合いたいって言わせないと駄目ですもんね」

「え?ああ」

「絶対にお兄様のお嫁さんになってみせますからね。覚悟しててください」


 香音はそう言うと、一人将来設計を思い描いていた。


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