#174:頭を撫でられる香音
本日の12:00以降に見れた最新話は、別作品のものでした。投稿する場所間違っていました。
「お兄さん。イチャイチャしましょう!」
「な、何で私が二人を見てなきゃいけないんですか?」
お昼ご飯を食べた後、自室に戻ると梨沙と香音が俺の部屋に入ってきた。瑠璃は美姫と天音に話があるらしく、その隙を狙うかのようにして来た梨沙と、天音がいないからお目付け役として香音が来たらしい。
「じゃあ、香音ちゃんは部屋から出てていいよ?私はお兄さんと一緒に二人きりでイチャイチャするから」
梨沙は「しっし」と言って、腕を払うような動きを見せた。
「私はお姉様に監視をするように頼まれたからここにいるんです。決してお兄様と梨沙ちゃんがイチャイチャするところを見たくて来たわけではないですからね?分かりましたか、お兄様?」
「う、うん。怒られるのは俺なのか?」
香音の有無を言わさない雰囲気に押されて、俺は頷いた。すると、梨沙が香音に何やら耳打ちをしていた。
「えー香音ちゃん素直じゃないな~。私はともかく、お兄様と一緒に居たいって素直に言えばいいのに」
「……言えるわけないでしょ?ほら、節度のあるいちゃつき方なら止めないから、イチャイチャしてきたら?」
「ふーん。まぁ、いいか」
ひそひそと二人で話しているので、何を話しているのかは聞こえない。ひそひそと二人で話しているということは、俺には内緒にしておきたいことだろうし無理に聞くつもりもない。
少し離した後、梨沙はこっちに来て俺に抱き着いてきた。
「ふふふ、お兄さん。久しぶりにお兄さんを独占できる時間です」
「そっかそっか。よしよし」
俺は抱きついてきた梨沙を受け止めると、子供をあやすように彼女の頭をなでた。すると梨沙は気持ちよさそうに目を細めた。
「ふわぁ。やっぱりお兄さんのなでなでは最高です」
「そ、そうなんだ」
香音が少しだけ羨ましそうにそう言ったような気がした。すると梨沙はニヤリと笑った。
「香音ちゃんもやってもらえば?」
「はぁ?何で私が?」
「いやぁ、べっつにぃ?ただ、天音お姉さんを甘やかしたいなら、撫で方を勉強しといたほうがいいんじゃないかなーって思って?別に嫌なら構わないけど」
「むぅ、そう言われると確かに(良い口実になりそう)」
香音は少し考えた後、俺に梨沙と同じことをしてほしいと頼んできた。頭を撫でて天音を甘やかせるときに俺の撫で方を参考にしたいらしい。別に、俺も慣れているわけではないから自信はないんだけどなぁ。
「そ、それじゃあお願いします」
香音はやけに緊張した様子で、俺に近づいてきた。そんな彼女を優しく抱きしめた後、梨沙にしたのと同じように、優しく頭をなでた。
「ふわぁ~」
「ふふふ、香音ちゃん?」
「はっ!?べ、別に何とも思ってないですよ?」
頭をなでると、彼女は気持ちよさそうな表情を浮かべた。そんな彼女を見て再び梨沙はニヤニヤした表情を浮かべた。梨沙に指摘をされると、香音は一瞬ハッとした表情を浮かべると、すぐに表情を普段のものへと戻した。
「滅茶苦茶照れてましたよね、お兄さん?」
「え、えーと」
まぁ、俺から見てもそう見えたんだけど、香音がその先を言うなとばかりに頬を膨らませて睨んできた。怖いというより、可愛いんだけどあまり彼女をいじりすぎないほうがいいだろう。
「ほら、香音も困ってるしそこまでにしておきな?」
「お兄さんがそう言うなら。お兄さん、次は私を後ろから抱きしめてください」
梨沙はそう言うと、俺に背を向けて座った。彼女の望み通り、俺は彼女の後ろに移動して抱きしめた。
「そうです。あー幸せです」
梨沙は体を俺の方に倒すと、幸せそうにそう言った。
「もう一回香音ちゃんもやる?」
「わ、私はやらないですから」
「そっかそっか。じゃあ、お兄さん。このままでお願いします」
「はいはい」
俺は可愛らしいお嬢様を、しばらくの間抱きしめていた。




