#165:美姫と天音と就寝
「優君、こっちこっちー」
お風呂あがり、しばらくしてから寝室へと向かうと、既に布団の中に入っている美姫と天音がいた。天音は俺が部屋に入ってきたのを見るや、嬉しそうに手招きをした。
「じゃあ、優君は真ん中ね?」
「はい、私たちの間に入ってください」
天音と美姫は、さも当然とばかりに真ん中にスペースを作って、俺にそこに入るように言ってきた。俺が端っこになってしまうと、片方が俺の隣で眠れないからとかだろう。
「そういえば、香音が良く反対しなかったな」
「香音ちゃん?あー……滅茶苦茶反対してたね。千春ちゃんと……渋々だけど梨沙ちゃんが何とか香音ちゃんを説得してくれたから。最初は梨沙ちゃんも反対してて、千春ちゃん結構大変そうだったからね」
あー多分、千春は物で梨沙を釣ったんだろうな。物って言っても、お金で買えるようなものでは梨沙の心には響かないだろう。……あるとするならばだ。
「天音。梨沙は、俺の写真がどうのこうのとか言ってなかったか?」
「え?あーそんなこと言ってたかも」
「やっぱりか」
俺は頭を抱えてそう言った。恐らく、最初は梨沙も香音も反対していたんだけど、千春が梨沙のまだ知らない俺の写真を見せるといったことで、香音を止める立場に立ったのだろう。実際に見たわけではないけど、そんな光景が何となくだけど想像できてしまった。
「むぅ、優君?」
天音は頬を膨らませると、俺の頬をやさしくつまんできた。
「他の女の子のことばっかり気にしていないで」
「あ、ああ。悪い」
「ふふふ、天音ちゃん可愛いですね」
美姫はそう言うと、俺の後ろから体を押し付けるように密着させてきた。それを見た、天音は顔を俺の顔の目の前まで移動させた。二人が先ほどまでよりも、さらに体を密着させてきてドキドキさせられる。
「優君、大好き―」
「うん、俺も大好きだよ」
「優也君、大好きです」
「うん」
「……あれ、何か私の扱い酷くありませんか?」
「……え?そうか」
俺がそう言うと、後ろから大きな声が聞こえた。
「優也君と天音ちゃんがずっと向き合っているから、優也君ずっと私に対してずっと背を背けているじゃないですか?不公平です!」
「今日一日美姫とずっと一緒にいたから、それくらいは許してくれ」
「ふふふ、冗談です」
美姫はそう言うと、俺の背中に密着させていた体を、離した。
「美姫ちゃん、今日はどんなデートだったの?」
天音が興味津々に、俺たちにそう聞いてきた。美姫は、今日会ったことを、朝から順番に説明していった。そして美姫の話が終わると、天音は目を輝かせて俺のことを見てきた。
「何それ!?ナンパを追い払った何て優君カッコイイ」
まぁ、あれはどちらかと言えばあの二人組が社会的に消されかねなかったのを心配して、動いたんだけど、天音の様子を見ると黙っておいた方がよさそうだな、うん。
「そうなんです。優也君を侮辱した二人組は許せませんが、優也君のカッコイイところが見られたので、良しとしましょう」
「ナンパは面倒だけど、優君のカッコいいところは見たかったよー」
天音はないものねだりをするように、じっと俺のことを見つめてきた。いや、そんな表情で見つめられても、俺は一体何をすればいいのだろうか。
「狙ってできるようなものじゃないから、期待されても困るんだけど」
「えー優君のけちー」
天音は笑顔でそう言った。




