表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/301

#161:茜への告白

つ、疲れた……

 二人きりになって、少しの間静寂が訪れた。少し経って、茜が勇気を振り絞ったかのように、俺に問うてきた。


「先輩……その、梨沙ちゃんと何かあったんですか?」


 そう言うと、茜は真剣に俺のことを見つめてきた。そこには以前のように、俺をバカにしてくる様子もなければ、からかっている様子もない。ただただ、真剣な表情で俺のことを見ていた。


「うん。そうだね。梨沙には俺の想いを伝えた」

「……え?ど、どうなったんですか?」

「思いを伝えて、オッケーをもらった。梨沙は俺の彼女になってくれた」

「な、なるほど……だから、あんなに喜んだ顔を浮かべていたんですね。梨沙ちゃん、隠しているように見えて全く隠せていませんでしたから」


 茜は困ったようにそう言った。俺は特に意識はしてみていなかったから分からなかったけど、茜から見て梨沙は滅茶苦茶幸せそうな表情を浮かべていたらしい。


「ま、まさか梨沙ちゃんが先に先輩の彼女になっちゃうなんて思ってもみなかったですよ」

「ああ。夏休みは長いけど、いつまでも長引かせるわけにも行かなかったからな。梨沙に先に告白するのは、二人同時に告白するよりも、一人ずつ告白したほうがいいかなって思ったからだ。そして、たまたま梨沙と二人きりになれたから先に告白したんだ」

「まぁ、確かに長引かされるよりもそっちの方が梨沙ちゃんも……ってえ?先にですか?」


 茜は目をぱちくりとさせて驚いた表情を浮かべた。少し遅れて俺が言っている言葉の意味を理解したのだろう。


「茜」

「ふぁ、ふぁいっ!?」

「梨沙や美姫たちと比べたら、接していた期間は短いものだと思う。最初は茜のこと、いたずらを仕掛けてくる、ちょっとうざい小悪魔な後輩だと思っていた」

「うぅ……」


 茜は泣きそうな表情で少し落ち込んでいた。


「だけど俺のことが好きだって言ってくれて、最初はあまり信じられなかったけど、それからは滅茶苦茶俺になついてくれて、茜の可愛らしい一面をたくさん知れたと思っている」

「そ、それは。ただ、単純に……先輩に好きなってもらおうと」


 茜はモゴモゴと恥ずかしそうに言っている。顔は真っ赤に染まっていて、とても恥ずかしい状況なのも見て取れる。最初だったら、からかってくるだけの後輩としか思ってなかったけど、今の彼女を見てるととても可愛いと思うし、愛おしい。


「そして、俺のために一杯努力してくれた話も聞いた」

「そうですよ。先輩に一目ぼれした日から、より一層容姿には気を使っているんですから!」


 茜は自慢するようにそう言った。俺はそんな彼女の頭を、優しくなでてあげた。すると彼女は目を細めて気持ちよさそうな表情を浮かべた。


 しばらくして、俺は彼女の頭から手を離すと、真剣な表情へと戻した。


「俺は茜のことが好きだ。こんな俺だけど、付き合ってください」

「はい。よろしくお願いしますね、先輩」


 茜はそう言うと、勢いよく俺に抱きついてきた。そして、俺たちは何も言わずに、お互いの顔を近づけてキスをしようとした。しかし、あと少しの所で突然部屋の扉が開かれた。


 俺たちはビックリして、顔を離す。


「どうやら上手くいったようですね。お兄様、茜さん」

「もう、梨沙ちゃん。あと少しで先輩とキスできたのに!」


 茜がプリプリと怒りながらそう言った。しかし、茜も本気で怒っているわけではなく、可愛いと思える怒り方をしていた。そんな、茜に対して、梨沙はニヤッと笑った。


「だって良いところだって分かって乱入しましたから。お兄さんの彼女になってからまだ一回しかキスをしていないんですよ!?もう我慢できません」

「あ!」


 梨沙はそう言うと、俺に抱きついてそのままキスをしてきた。余談だが、その後対抗するように茜もキスをし始めた。そして、二人とイチャイチャしている最中に、お出かけから帰ってきた天音が混ざってくるんだけど、これはまた別のお話だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ