#13:一緒にお風呂
お風呂回です。
あ、ちゃんと皆水着は来てますよ?
「ごちそうさま。それじゃあ、俺は先に風呂に入ってくる」
テーブルから立ち上がり、食器をを片づけようとすると突然、美姫に後ろから回り込まれ抱き着かれた。
「先にですか?駄目ですよ、そんなに急いじゃ。今日のためにしっかりと水着用意してきましたから」
「う、うん私も一緒に入りたい!」
「え、ちょっと待って!?お兄ちゃんと一緒にお、お風呂入るの!?ずるい、私も入りたい」
千春が頬をむすっとさせながら、俺にそう訴えかけてきた。いやいや、そもそも一緒に入るってことを俺は認めていない……はい、駄目ですか。拒否とは言わせてくれないみたい。俺にも心の準備というものがあるんですよ。
父さんがそこそこの風呂好きなので一般家庭よりは風呂は大きめにしたらしい。まぁ、覚悟を決めるしかないか。俺は自分の部屋に戻り水着を取りに行った。
美姫たちは水着に着替えるのに少し時間がかかるとのことだったので、俺は先に水着に着替えて、風呂場へと入った。まず初めに体を洗いたかったのだが彼女たちに体を洗いっこするから先に洗っちゃ駄目と言われてしまっているので大人しく待機していることにした。
「お、お邪魔します優也君」
「優君の水着久しぶりだ―」
「お、お兄ちゃんとお風呂……恥ずかしいよぉ」
少し時間が経つと風呂場に三人が入ってきた。俺と一緒にお風呂に入っているその事実に対して、彼女たちの中で妹が一番恥ずかしがっているのはいかがなものなんだろうか。ちなみに、俺は勿論ドキドキしまくっている。
美姫も天音もそれから妹ではあるが贔屓目に見ても可愛い千春が三人同じ風呂場にいるのだ。美少女と水着を着てはいるが、一緒に入っているんだからドキドキしないわけがない。
「ふふふ、どうですか」
「優君似合ってるかな?」
「お、お兄ちゃん」
三人が俺に水着姿を見せて感想を求めてきている。美姫は水色を、天音は黄色を、千春はピンク色の水着を着ていた。
「か、可愛いと、思う」
俺はその一言を言うだけで恥ずかしさが限界に達してしまい、そっぽを向いた。
「ふふっ、恥ずかしいみたいですね。あまりこうしていると優也君もかわいそうですし、早速優也君の体を洗っちゃいましょう」
「賛成!それじゃあ、どこから洗おっか」
「皆で場所を分けて洗いませんか?」
「賛成です。それじゃあ……」
それからのことは断片的にしか覚えていなかった。あの後三人に体を洗われた後、三人の体を順番に洗い、それからえっと……確か四人で一緒に浴槽に入ったんだっけ?そこで……えっと。
まぁ、その後目が覚めたときには俺はベットに寝かされておりそれを心配そうに見つめる三人の姿があった。
「よ、よかったぁ。優君が目覚めたよ~」
「お、お兄ちゃんが急に気絶したから焦ったんだからね」
「ごめんなさい優也君。私が無理やり、お願いしてしまったせいで」
美姫はしゅんと落ち込んだ様子で俺に謝ってきた。俺はそんな彼女に近づき彼女の頭の上に手を置いた。美姫は覚悟を決めたように目をつぶった。いやいや、叩かないからね!?俺はそっと美姫の頭を優しくなでた。
「ゆ、優也君?お、怒ってないんですか?」
「ああ。そもそも俺はみんなと一緒にお風呂に入ることは恥ずかしいってだけで、別にその……嫌ってわけじゃないからね」
さらに俺は付け加える。
「それに、皆は楽しかったんだろ?じゃあいいんじゃないか」
俺がそう言うと三人の目に涙が浮かんだ。
「優也君~」
「優君~」
「お兄ちゃん~」
「うわっ!?」
彼女たちは一斉に俺に抱き着いてきた。嫌われたらどうしようと思っていたみたいだ。まぁ、流石にこんなことで怒ったりなんかはしない。それに、俺も少し楽しかったし。とは言え、慣れるまではしばらく彼女たちと一緒に風呂に入るのはやめよう。そう思った出来事であった。




