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#133:香音への助け船

パーティ編書きたかったんですけど、登場人物がある程度増えるので明日に回します。(今日は各時間が余り取れなかったため)


「本音を言えば、お兄さんと一緒に出たかったんですけど」

「えっと……そのごめんなさい」

「構いません。美姫さんは悪くないですから。お兄さん、この埋め合わせは今度私と二人でデートですからね」


 相変わらずな様子で、梨沙ちゃんはお兄ちゃんに迫っていた。梨沙ちゃんはお兄ちゃんのことを好きだということは、結構昔から明言していたんだけど、お兄ちゃんは美姫お姉ちゃん一筋だったこともあってか断られていた。


 だけど、天音お姉ちゃんや明日香お姉ちゃん……それから私を受け入れてくれた時点で、恐らく考えは変わっているのは間違いない。相手の性格によほどの問題がない限り、お兄ちゃんは自分に好意を向ける女の子を簡単に断ったりはできないと思う。


 だから、すぐに梨沙お姉ちゃんのことも受け入れるんじゃないかな。事実今も、彼女に抱き着かれて、デレデレしてるし。そんなことを一人考えながら、お兄ちゃんと梨沙お姉ちゃんを見守っていると、突然肩を軽くたたかれた。振り返ると、そこには不安そうな表情を浮かべた香音ちゃんがいた。


「うん?どうかしたの、香音ちゃん?」

「あ、あのえっと。どうしよう、お兄様が梨沙ちゃんに盗られちゃうよ」

「え、えっと。……その、彼女複数いるからとられるってことはないかなぁ」


 それに盗られるって意味合いにも聞こえたんだけど、別にお兄ちゃんは香音ちゃんのものじゃないし、付き合ってもないんだけど。うーん、この娘はもうちょっと積極性を出さないと中々進展しなさそう。


 もう少し放置して様子を見ようと思ってたけど、梨沙ちゃんが来てしまったことで香音ちゃんはドンドン自信を失くしてしまっているように見える。うーん梨沙ちゃんに負けないようにライバル意識を持たせて距離を縮めさせようとしたのが、裏目に出ちゃったかなぁ。




「お兄様……」


 先ほどから一人でボソボソお兄ちゃんの方を見てはいう始末。でも、そういえば天音お姉ちゃんに抱きついている時は、香音ちゃんは特に反応を示してなかったけど、梨沙ちゃんなのが問題なのかもしれない。


 そう思って香音ちゃんに聞いてみると、彼女は頷いた。


 梨沙ちゃんは香音ちゃんと同じで、普段からお兄ちゃんに会うことはできない。年も一緒で、財閥の令嬢という似たようなステータスを持っている。しかし、香音ちゃんはお兄ちゃんにきつくあたってしまう。一方の梨沙ちゃんは、香音ちゃんが天音お姉ちゃんにやるようなことを平気でやってのける。もし梨沙ちゃんがお兄ちゃんの彼女になると、自分は見向きもされないんじゃないかと不安になっちゃっているんじゃないかな?


 うーん私としては梨沙ちゃんも香音ちゃんも両方応援してあげたいからなぁ。ただ梨沙ちゃんは放っておいても、お兄ちゃんの彼女にいつの間にかなってそうだし、少し香音ちゃんに助け船を出してみようかな。


「お兄ちゃん、梨沙ちゃん」

「どうした千春?」

「どうかしましたか千春さん?」

「えっと、梨沙ちゃんと一緒にデートするってやつなんだけど……その私と香音ちゃんも一緒に行っていいかな?」

「え?それは……その」

「ごめん梨沙ちゃん」


 私はそう言うと、彼女だけに聞こえるほど小さい声で取引を持ち掛けた。


「分かりました。それなら構いませんよ」

「お、おう?」

「やっぱりデートじゃなくて四人で行きましょう」

「……千春、梨沙に何を言ったんだ?」

「内緒だよ、お兄ちゃん」


 お兄ちゃんにジト目で見られながら聞いてきた事に対して、私は笑顔でそう答えた。ちなみに梨沙ちゃんには彼女が持っていないお兄ちゃんの幼い頃の写真を見せてあげると言ったら簡単に許可を貰った。お兄ちゃんは幼い頃の写真を見られるの少し恥ずかしがる傾向があるし、このことは黙っておくことにしよう。


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