#132:西条 梨沙
実は私の別作品であるクラス転移から二人の名字を取っていたりします。
キャラ同士の直接の関係は特にありません。
「お久しぶりです。お兄さん!」
玄関の扉を開けると、目の前に立っていた少女が嬉しそうな表情を浮かべながら俺にだきついてきた。
「ひ、久しぶりだね。梨沙」
「はい!お久しぶりですお兄さん」
彼女の名前は西条 梨沙。西条という名字から想像できるかもしれないけど、神無月家や東条家と並ぶ三大家の一つだ。彼女はその西条家の一人娘である。
「理沙ちゃん久しぶりだね」
「あ、香音ちゃんお久しぶりです」
そんなわけで香音と梨沙も何度も顔を合わせている。もっとも毎日のように会っているというわけでもないらしいんだけど。
「それで、苦しいから離れてくれないかな?」
「良いじゃないですかお兄さん。久しぶりのお兄さんを堪能しているんです。……それとも私が抱きついてくるのは嫌ですか?」
梨沙はそう言うと、目をウルウルとさせながらそう言った。その表情でこっちを見られると首を横に振ることなんてできない。
「と、とりあえず一回俺の部屋に行こうか。美姫たちもそこにいるから」
「はーい、分かりました」
俺は梨沙を引き連れて自分の部屋へと戻った。
「お邪魔します」
「あ、梨沙ちゃんだー!」
天音はそう言うと、俺に抱きついている梨沙めがけて抱きついたてきた。
「ご無沙汰してました、天音さん」
「うんうん、久しぶりだね!」
「お久しぶりです、梨沙ちゃん」
「美姫さんもお久しぶりです」
梨沙は美姫や姉さん、千春ともあいさつを交わした。
「それで梨沙ちゃんはいつまで抱きついてるの?」
「えっとー……ずっとです。離れ離れの時間を全力で埋めるために、今抱きついているんです」
西条梨沙――ここまで来ればもう分かるだろうか。彼女が俺に向ける視線は、香音が天音に向ける視線とほぼ同じものだ。
「そういえば聞きましたよ?美姫さんたちと付き合っているんですよね!?」
「え、ああ。……そうだけど」
「ずるいです。私を放っておいて先に彼女を作るなんて……私も彼女になります!」
「いや、ちょっと待て」
おそらく付き合った話は美姫から聞いたんだろう。美姫や天音と付き合っていることをしたら、梨沙がこう言ってくるのは目に見えていたことなので、今更驚いたりはしないけど。
「ふふふ、香音ちゃんなら構いませんよ」
「えへへー本当ですか?だそうですよ、お兄様?」
うん、絶対こうなるとは思ってた。天音と姉さんと千春の三人も梨沙の気持ちはよく知ってるので、誰も気持ちを確かめたりしようとしない。むしろ早く付き合えと言わんばかりに俺を見てくる。
「今すぐは無理だけど、前向きに考えておくよ」
「本当ですか!?絶対ですよ」
「大丈夫ですよ。優也君の考えておく期間は気持ちの整理みたいなものなので、いずれ彼女にしてもらえますよ?」
だまらっしゃい。まぁ美姫が裏で糸を引いているとはいえ、今までも考えた結果、一度も告白を断っていないからなぁ。確かにそう思われても仕方ないんだけど。一応俺だって考えてはいるつもりだ。
「そういえば今日のパーティの相手役は皆さん決めたんですか?」
「私は優也君と出るつもりです」
「私はお姉様と出ます!」
「なるほどなるほど……って美姫さんがお兄さんを取ったら私は誰と出ればいいんですか!?」
梨沙は嘆くようにそう言った。
「今年は家の人を用意したりしないのか?」
「はい。今年こそ、お兄様と一緒に出られるものだと思ってたので」
「うん。そんな約束はしていないと思うけど」
「仕方ありませんね。明日香さんお願いできませんか?」
「え、私?パーティは苦手何だけどなぁ」
美姫に頼まれた姉さんは困ったように言った。
「お願いします。私にはお兄さんがいるので……お見合いとか遠慮したくて」
「う、うーん。まぁ優君が関係してるなら仕方ないかぁ。うん、いいよ引き受けるね」
「ありがとうございます、明日香さん」
こうして梨沙のパーティーのパートナー役として、姉さんが出ることになった。




