#12:美姫と天音のお泊り!?
お泊り会です。
天音の母親と美姫の両親も多分今後出てくると思います。……多分。
「というかもうそろそろ暗くなってきたけど、帰らなくていいのか?」
「あ、今日は泊っていきます。お義母様には話は付けてあります」
「私もお母さんには優君の家で泊まるって言ってきちゃった」
年頃の娘さんを男の元に行かせちゃっていいんですかね。そう思ってはいたけど、そういえば昔からよく娘を頼むとか言われていた気がするな。あの当時は、幼馴染として辛いときは一緒にいてやってほしいとかそう言う意味だったらしいけど、どうやら別の意味も含まれていたみたいだな。
特に天音の父親は彼女が小さい頃に亡くなってしまっており、俺の家に入り浸ることもしばしばあった。そんなこともあってか、信頼されているのだろうか。天音が夜に家に来るときは、大抵天音のお母さんも一緒に来ることがある。それも原因の一つとしてはあるんだろう。
「お兄ちゃん、美姫お姉ちゃん、天音お姉ちゃん。御飯ができたって」
「もうそんな時間ですか。もう少し早く気づければ……お手伝いできたのに」
「気にしなくて大丈夫ですよ?二人は家族みたいなものなんですから」
「千春ちゃん。うぅ、千春ちゃんがいい子過ぎるよぉ。今度私も料理するからねぇ」
天音が千春に抱き着きながら、そう言うと、彼女は顔をひきつらせた。
――そう天音は料理が苦手なのである。とは言ってもマンガのキャラみたいに毒殺料理や食べ物じゃないものが入っていたり、食材が丸ごと入れられていたりということは決してない。食べられないものが入っていることはないんだけど、彼女の場合料理に最後調味料を入れる。作るものによって、居れるものは毎回違うのだが必ずそれのせいで美味しくなくなってしまう。
「あはは。天音お姉ちゃんはレシピを完全に覚えてからにしてくださいね」
「そうですね。天音ちゃんは今度私と一緒に花嫁修業でもしましょう」
「は、花嫁修業!?う、うぅ……」
天音は恥ずかしそうに俯いた。
「でも優也君に喜んで貰んでもらいたくはないんですか?」
「そ、それは勿論喜んでほしいよ」
「じゃあ私と一緒に修行しましょう?」
「う、うん!」
「家のメイドに頼んでおきますね。多少しごかれるかも知れませんが二人で優也君に喜んでもらいましょう」
俺の目の前で、俺を喜ばせるために決意している天音を見て嬉しさを感じた。ただ、放っておくといつまでも続きそうなので俺はここらへんで彼女たちの話を無理やり切り上げさせることにした。
「おーい。そろそろご飯行くぞ」
「あ、はい」
「うん!」
俺はそう言うと部屋から出て、リビングへと向かった。
「よう、優也。それに美姫ちゃんと天音ちゃんも」
「帰ってたんだ、父さん」
「こんばんはです、お義父様」
「こんばんはー」
「ういー。今日はたまたま早く仕事が終わったからな」
「それにしてもだぁ、俺は優也……お前が羨ましいぜぇ」
「俺が?」
「そうだそうだぁ。こんな絶世の美少女が二人も幼馴染で二人とも好意を向けてくれるんだろう。かぁ、羨ましいぜ。俺も嫁さんの二人や三人欲しかったぜ」
父さんは酒を飲みながら、そう言った。あ、父さん後ろ後ろ。父さんの後ろに体を震わせながら仁王立ちしている母さんの姿があった。
「何だぃ優也。俺のことをそんなに見て。もしかして誰か紹介してくれるのか?」
「……貴方?」
「ひぃっ!?」
「美姫ちゃん、天音ちゃんごめんなさいね。私は少し教育してくるから、あとは四人でごゆっくり~」
母さんはそう言うと、父さんの腕を引いて部屋へと連れ込んだ。服をつかんだりしないところが母さんの良いところだよな。まぁ、あんな二人だが数時間後にはラブラブになって戻ってくるだろう。日常茶飯事の出来事なので俺も千春ももう何も言わない。
「さてと、それじゃあ冷めないうちに頂きましょうか」
「ああ、そうだな」
「うん!」
俺と美姫と天音は先にご飯を食べていた千春と一緒に4人で食卓を囲みながら夕飯を食べた。




