#127:お泊り会の突然の参加者
滅茶苦茶眠い……
「それで香音ちゃんはどこに泊まるんですか?」
「お姉様の泊まるところです!」
「えっと私たちは今日は優君の家で泊まるんだけど……優君大丈夫?」
天音は俺にそう聞いてきた。
「入るか入らないかについての問題は特にないかなぁ。ただ付き合ってもいない男女が一つ屋根の下で一夜を共にするのもどうかと思うけど」
「お兄様とお姉様を一緒にする方が問題です!」
どの口が言うのかと思われるかもしれないけど、あまりよろしくないこととだっていうのは分かる。
「それじゃあ、私もいいですよね先輩?」
待ってましたとばかりに茜も便乗してきた。もともと今日のお泊り会は美姫と天音、それから姉さんだけを呼ぶつもりだったんだけど、茜がこう言っているし仕方ないか。
「ああ、分かった」
「本当ですか!?ありがとうございます。大好きです先輩」
茜はそう言うと俺に抱き着いてきた。俺はそんな彼女の頭をなでた。この娘も仮彼女だから、誘うのは如何なものかと思って呼ば兄つもりだったんだけど、香音が止まるとなれば話が変わってくる。それに、茜の嬉しそうなこの表情が見れたから、まぁ良いか。
「それじゃあ私は帰るわね。羨ましいけれど、私の分まで楽しんで頂戴」
「はい、任せてください。先輩の寝顔一枚くらいなら撮って送りますね」
「やめてくれよ?」
変なことを言う後輩に辞めるようにくぎを刺しつつ、渡会を見送った。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
「お帰りなさいお兄ちゃん。……って香音ちゃん!?久しぶりだね」
「あ千春ちゃんだ。久しぶりー」
お泊り会のために皆で俺の家に行くと、千春が迎えに来てくれた。彼女は香音の存在に気づくと、嬉しそうな表情を浮かべた。そして手を取ると、二人で嬉しそうにきゃっきゃっとじゃれあっていた。
「うーん。千春ちゃんとお兄様って本当に兄弟ですか?」
「どういう意味だ?」
「べっつにー?そのままの意味です。さぁ、お姉様行きますよ!」
「う、うん。……って何処に行く気なの?」
「勿論千春ちゃんの部屋です」
「わ、私の部屋?別にいいけど、特に何もないよ?」
香音が積極的に言うので、みんなは千春の部屋に向かった。ちなみに、姉さんは後から合流するので今はいないが、俺を除いた他のメンバーはみんな千春の部屋へと向かった。
たまには俺を除いて話すこともあるだろうと思い、俺は一人自分の部屋に戻る。すると突然俺の部屋の扉が開いた。
「か、香音!?」
「天音先輩にとってよからぬものがないかのチェックに来ました」
「……どういうことだよ?」
俺は少し呆れるように彼女に言った。
「そのままの意味です」
「あー一人だけ優君の部屋にいてずるいよー」
遅れて天音が慌てるようにして、俺の部屋へと入ってきた。
「お、お姉様!?駄目です入ってきたら。まだお兄様の部屋の安全を確認し終わってないんですから」
「大丈夫だよ、優君の部屋は安全だから。それに優君のお部屋……特にベットは落ち着けるんだぁ」
天音はそう言うと、俺のベッドに腰掛けた。
「あー!どういう意味ですかお姉様?……まさかお兄様?既にもう……」
「多分お前が考えていることはしてないと断言できるぞ?」
「二人とも落ち着いてください。のんびり寛ぐことが目的なんですから、とりあえず座りましょうか」
「それにしても……相変わらず香音ちゃんは天音お姉ちゃんのこと好きなんだね」
「勿論。お姉様の存在なくして、私は生きる意味などありません」
「うぅ、そこまで言われると辛いよぉ」
天音が困ったようにそう言った。
「さてと、それじゃあそろそろ夕ご飯作らなきゃ」
「私もお手伝いしますね、千春ちゃん」
「ありがとうございます、美姫お姉ちゃん」
そう言うと、千春と美姫は俺の部屋から出て行った。
「うわぁ、二人の料理を食べるのは久しぶりで今から楽しみです」
「うんうん。美姫ちゃんと千春ちゃんが作るようリハ滅茶苦茶美味しいから私も楽しみだよ」
「あ、勿論お姉様との久しぶりの食事というのもポイントです。一杯あーんするので覚悟してくださいねお姉様」
「あーうん。それは遠慮しておこうかな」
困ったようにそう言う天音の言葉を聞いて、香音はショックを受けていた。




