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#126:パーティとは?

「あ、あの動きづらいんだけど」


 それからというものの、何故か香音は俺にギュッと抱き着くようにしていた。


「駄目です。先輩を今離したら、すぐにお姉様を襲いに行くでしょうから」

「いや、そんなことしないから。第一、香音が来る前からこの関係は始まってたわけだし、実際その間俺は何もしてないだろ?」

「でも駄目です」


 そう言って聞く様子のない香音を前に、みんな困った表情を浮かべていた。


「ちなみにいつまでそうやっている気なのかしら?」

「そうですね。お姉様と一つ屋根の下から外れたら解放してあげます」

「ええっ!?」


 すると天音は驚きの声を上げてしまった。


「それじゃあ、折角のお泊り会なのに優君とイチャイチャできないよね!?」

「お、落ち着いてください天音ちゃん」


 天音がこの世の終わりとばかりに美姫に言った。その言葉に当然のごとく香音は反応を示したが、他にも約二名ほど反応を示す人物がいた。


「お姉様とお泊り会ですか!?」

「どういうことですか先輩?私それ聞いてませんよ!?」

「私も聞いていないのだけれど。詳しく聞かせてもらえるかしら?」


 三人の圧が一斉に俺たちに集中した。三人の圧がすごく、天音はすっと俺の後ろに隠れてしまったし、美姫も若干押されているような感じがあった。


「まぁ、ゴールデンウィークの時と同じだよ。夏休みも毎日のように誰かの家で止まっているんだよ」

「ゴールデンウィークもお泊り会してたんですか!?これは……うん、決めました!私もそのお泊り会に参加します。いいですよね、お姉様?美姫お姉様?」

「え、えっと……」

「まぁ、別に私は構いませんよ」

「本当ですか!?流石、美姫お姉様は話が分かる人です!」


 香音はそう言うと、目を輝かせて美姫のことを見ていた。美姫はそんな彼女に対してニッコリとしていたが、目線は俺の方に向けられたものだった。


「それに来週にもパーティが開かれる予定ですから」

「あ。そういえばそうでした。パーティ苦手なんですよね。私はお姉様とこうやって同じ空間に入れることの方が重要なのに」


 香音は文句を言っていた。まったく、相変わらずだな。


「先輩、パーティって何ですか?」

「ああ。財閥とかお金持ちの人たちが集まって行われるんだ。三大財閥が共同で主催するということもあって結構盛り上がるんだ」

「三大財閥ですか?」


 三大財閥とはこの国において、最も財力を保有していると言われている三つの家。パーティに参加する家はそれなりの財力を保有しているのだが、それでも比較できないほどの財力の持ち主だ。そしてその三大財閥が神無月家、東条家そして西条家の三つだ。


「昔から親同士が仲がいいこともあってか、こういった機会を設けたんです。けど、最近はよくプライベートでお付き合いをしているらしいです」

「あー確かにそんなこと言ってかもしれません」

「……相変わらず天音のことしか興味ないんだな」

「えへへ、それほどでもないですよ」

「別に褒めてねぇよ」


 相変わらずな様子の彼女に対して、俺は呆れるように言った。


「それにしてもパーティ面倒だなぁ」

「そんなに面倒なんですか?」


 嫌そうに言う香音に、茜が聞いた。


「男避けが面倒なんです。……あ、そうだ!お姉様私のパートナーとして出てください」


 香音は名案とばかりに嬉しそうな声で天音に言った。


「美姫お姉様はお兄様をパートナーとして出るんですよね?」

「そうですね。好きな人と一緒にいれば気持ちが落ち着きますから」

「それじゃあ、お姉様。男装して出てください」

「ええっ!?男装?いや、私は別に……」


 困ったような天音を見て、美姫が俺の方を見てニッコリと笑った。


「天音ちゃん出てみてはどうですか?」

「ええっ!?」

「出たらそうですね……優君と一日二人きりで過ごせる権利とかでどうでしょう!」

「本当に!?絶対だからね?」


 天音はパーティに、香音のパートナーとして出ることになった。

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