#11:美姫と天音とゲーム対決
「さて、それじゃあ何をするか?」
美姫と天音の二人に散々キスされた後、俺たちは次に何をするかを話し合っていた。
「それじゃあ、これでも見ませんか?」
美姫がそう言うと、彼女の持っていたポーチから小さなアルバムのようなものが出てきた。へぇ、アルバムか。確かに偶にはそういったものを皆で見るのも悪くないのかもしれない。
「うんうん、いいね」
「アルバムか。いつも持ち歩いているのか?」
「はい、勿論です。それとこれはただのアルバムじゃなくて、優也君の写真集です」
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。俺の写真集だと。いやいやいや、何でそれを貴方が持ってるの、ねぇ。俺は、彼女が本を開く前に彼女から取り上げた。気になってパラパラと捲ってみたんだけど、基本的には俺の写真しか入っていなかった。とは言え、三人で映っている写真も入ってはいた。そういえば風呂上がりに写真を撮られたことがあったような気がする。何かの実験データとして使いたいとか言っていたけど、どうやらそれはでまかせだったらしい。とりあえず、これは仕舞っておくことにしよう。
「それじゃあゲームでもするか」
「うん!」
「分かりました」
これ以上アルバムの話が続くことを避けるためにゲームをやることにした。俺は滅茶苦茶ゲームをやるけど、二人はそこまででもない。俺と一緒にやるためにゲームをすることの方が多いみたいだ。美姫はともかく、天音は結構なアウトドア派なのであれだけど。
「それでは今日はパーティ系のゲームをしませんか?」
「それじゃあ、スゴロクやろうよ!」
「そうだな、そうしようか」
俺たちはスゴロクのゲームを行うことにした。このゲーム実は、かなり奥が深い。止まったマスによって進んだり戻されたりすることはあるんだけど、サイコロの数が増えたりプレイヤー同士の場所が入れ替わったりと様々な仕掛けが存在する。
そしてプレイするたびに仕掛けが変わるので、どんなことが起こるかが分からないのが楽しいゲームだ。俺たちはこのゲームをよく千春を含めた四人で行う。
――ただし、順位は大体分かり切ったものになってしまう。
「ふふふ、私の勝ちですね」
「うー悔しい。また負けちゃったよぉ。ずっと良い調子だったのに」
いつも美姫が一位になってしまう。不正を疑ってしまうようだが、彼女は普通にプレイしているだけだ。彼女が最初から独走するときもあれば、今回のように終盤で一気に場所が入れ替わって勝ったりと理由は様々だがほとんど彼女が勝ってしまう。
ちなみに美姫の一位程では無いが、天音もよく最下位になってしまう。そもそもサイコロの目が悪くて1が5ターンぐらい連続で出てしまうこともあれば、今回のように首位からの一気に転落で最下位など理由はさまざまであるが。
「さてと、それでは私が勝ったので一つ願いをかなえていただきましょう」
そして今回の勝負は一位になった人の言うことを一つ聞くというものだった。勝負をするには何かしらこういったものがあったほうがいいだろう。
「それでは、こほん。優也君は膝枕を、天音ちゃんは抱き枕になってください」
「はぅぅ、幸せです」
「美姫ちゃん、そこくすぐったい」
「ふふふ、ごめんなさい」
美姫は俺に膝枕されながら横になり、天音のことを抱き枕のようにしていた。
「家だとこんなこと出来ませんからね。天音ちゃん頬ずりしてください」
「えええ!?は、恥ずかしいよ」
「罰ゲームです」
「ううう……わ、分かったよぉ」
美姫に罰ゲームだからと言われ、天音は恥ずかしそうにしながらも美姫に頬ずりしていた。
「やっぱり幸せです。そう思いませんか優也君」
「ああ、まぁそうだな」
こんなに幸せそうな美姫を見て、幸せな日常を過ごしているなとは思いそう返事をした。まぁ、確かに天音がいてこその美姫の笑顔なのかもしれないな……だとしたら俺はどうするのが正解何だろうか。
「やっぱりこれは天音ちゃんも恋人だからこその幸せなんです。ということで天音ちゃんも彼女に……」
「やっぱり最初からそれが狙いか」
「あ、バレちゃいましたか」
そりゃあ、自分で言っちゃってるからな。俺は、悔しそうな表情をしている彼女にため息を吐いた。




