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#109:先輩と小泉

109話目です。

今後もしかすると、更新ペースが落ちる可能性があります。



「うぅ、怖かったです先輩」

「お、おうそうだな」


 あの後、小泉は俺の腕の中でしばらく泣きじゃくっていた。あそこまでしつこく付きまとわれたのは初めてのことだったらしい。いつも男子をからかっているからじゃないかと思ったけど、彼女は俺以外の人間にはしていないというし……あの三人組が異常だったとしか言えない。


「大丈夫ですよ。あの人たちの顔はもう二度と見なくてもいいようにしておきましたから」


 怖っ!?美姫が恐ろしい言葉を言っていた気がする。それが本当かどうかはさておいて、彼女なら出来てしまいそうだ。


「茜ちゃん、今日の学校どうする?」

「えっと……まぁ、とりあえず頑張って受けてみます」


 天音が心配するようにして小泉にそう言った。小泉は一瞬悩むような表情を浮かべたが、授業には出ることにするみたいだ。


「それじゃあ、授業が終わるまでは頑張ってください。終わったら優也君を一人で向かわせますね」

「本当ですか!?」


 え、俺なのか……?そう思っていたら、小泉が嬉しそうにそう聞いてきた。そんな顔をされたら断ることができないじゃん。どうせまたからかわれるんだろうけど、まぁ今日ばかりはしかたないか。


「ああ、分かったよ」

「ホントですか!?絶対、ぜぇったいですからね!それなら私今日も頑張れそうです」


 小泉はそう言うと、元気を取り戻して駆け出すようにして教室から出て行った。


「すっかり立ち直っったようね」

「そうみたいですね。流石に今日は立ち直るのは難しいんじゃないかと思ってましたけど……元気になってよかったです」

「うんうん、私もそう思うよ」


 まぁ、俺だって心配ではあったし元気ならば別にいいか。……放課後どうするかなぁ。




「あ、あの人がそうじゃないかな?」

「絶対そうだよ」


 放課後、一年生のいるフロアへ向かった。小泉に教えられた教室に近づくと、突然そんな声が周囲から聞こえてきた。恐らく小泉と同じクラスの女子生徒だろうか。教室の扉から教室内を見ると、それに気づいた小泉がバッグを取って小走りで俺のところまで走って、抱き着いてきた。

「せーんぱい。遅いです」

「おわっ!?……って抱き着くんじゃない」

「えーいいじゃないですか、これくらい。……今朝は取っても怖かったんですよ?」


 小泉はか細く、今にも消えそうなほど小さな声で付け加えた。そんなこと言われてもだな。


「……一応表向きには美姫と付き合っていることになってるから離れてほしいんだけど」

「大丈夫ですよ。ただの私の求愛行動にしか見えませんから。……まぁ、これくらいで許してあげましょう」


 小泉はそう言うと、やけにご機嫌な様子で俺の体から離れた。


「それじゃあ、遊びに行きますか」

「……うん?」

「いやもう放課後だぞ?」

「はい、知ってますよ?でもまぁ別に夜ってわけじゃないですよね?」

「まぁ、そうだけど」

「それじゃあ、いいじゃないですか?デートいきましょう」

「はあ、何言ってんだ?」

「……駄目ですか?」


 小泉が目に涙を浮かべて、下から覗き込むようにしてそう言った。くっ、悔しいが可愛らしいその姿に、小悪魔の誘惑に負けて首を縦に振ってしまった。




「とは言っても、今から何処に行くんだ?」

「それはプラネタリウムです」


 プラネタリウム……?そんなもの、この近くにあったかな?


「小泉の家の近くとかか?」

「あ、いえ。美姫先輩の家に行きます」

「え?美姫に許可取ってるのか?」

「はい。二人で使わせてくださいって頼んだら快諾してくれましたよ」


 あれ?美姫は見ないってことなのか?だとしたら俺は小泉と二人っきりということになる。


「流石に今から本格的なものを見るのは時間かかっちゃいますからね。美姫先輩の家にあるやつなら、人目に憚られる楽しめるしおススメって教えてくれたんですよ……って先輩聞いてますか?」

「あーうん聞いてる」


 俺は適当に返事をしておいた。

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