#10:美姫と天音は母親公認
美姫と天音のターンです。
今回、千春は出てきません。悪しからず。
「それじゃあ、私はこの辺で……今日は楽しかったです先輩。美姫先輩と天音先輩もありがとうございました」
「はい、お気をつけて。また一緒に買い物行きましょうね?」
「うん、また皆で行こうね」
「はい!ありがとうございます」
茜……小泉は美姫たちにまた一緒に買い物をしようと言われて、凄く嬉しそうにしていた。
「さて、この後はどうするか?」
「そうですね、特にやることもありませんけど」
「はいはーい!優君のお家に行きたいです。何ならお部屋に」
「俺の部屋か?来てもいいけど、ゲームくらいしかないし毎日のように来ているだろ?」
「まぁ、そうなんだけど。やっぱり……その好きな人の部屋にはいつでも居たい……みたいな?だめかな、優君?」
またそうやって目に涙を浮かべてお願いして。俺が断ったら彼女がどうにかなってしまいそうな勢いである。
「分かったよ」
どうやら俺は天音に弱いらしい。俺が許可をすると嬉しそうにピョンピョンと跳ねる彼女を見て俺は微笑んだ。
「ただいまー」
「お邪魔します」
「おっ邪魔しまーす!」
「あら、いらっしゃい。二人とも」
俺たちが家に入ると、奥から母親が出てきた。
「こんにちは、お義母様」
「こんにちはー」
「あら、嫌だ。お義母様だなんて。あれ、でもまぁ確かに将来的には。でもいいの、家の子なんかで」
おい、こら母さん余計な事を言うな。少しは祝ってくれてもいいだろう。
「はい、優也君がいいんです。私の全てを見て好きだと言ってくれる優也君だからこそ」
「ふふふ、優也は幸せ者だねぇ。こんなに可愛い彼女たちに囲まれて」
「分かったから。ちょっと俺は先に部屋にあがってるから」
俺はそう言うと、三人を残して自分の部屋へと向かった。
――この時の俺は気づいていなかった。母さんが可愛い彼女たちと言っていることに。
「あ、優君のお母さんえっと、その」
「ふふふ、大丈夫だよ。貴方たちが家の子を昔から好きでいてくれてるのは知ってるから。今の現状についてもね。私からとやかく言うことはないから、とにかく自分が幸せになれると思う行動をしなさい」
「は、はい。頑張ります」
「まぁ、私としてはこんなに可愛い子たちが二人もお嫁に来てくれるなんて嬉しい限りだけどね」
「か、可愛いですか」
「お、お嫁さん」
後にこの時の話は母さんから聞いたんだが、この時二人は頬を真っ赤に染めて滅茶苦茶恥ずかしそうにしていたらしい。
――
俺は部屋に戻るなり、地面に落ちている服を仕舞っておいた。美姫や天音、それから千春がよく俺の部屋に来るので滅茶苦茶に散らかっているという訳ではないんだけど、今朝迷って結局着なかった方の服をおきっぱにして出かけてしまっていたためそれを先に仕舞いたかった。
彼女の前で、あんまりだらしないところを見せたくないんだけどな。天音はともかく、美姫は俺の少しだらしないところも好きで、世話をしたくなると言ってくれはするのだが……そうは言ってもやはり恥ずかしい姿を見せたくはない。
そして俺が服を片づけ終わると同時に、部屋がノックされた。
「優也君、入ってもいいですか」
「ああ、勿論」
「二日ぶりの優君の部屋だー」
天音は入って早々、俺のベットに飛び込んだ。
「優君のベット。ホカホカする~」
「来ていきなりやることはそれかよ」
「うん。この時間が一番落ち着くんだもん。優君も、一緒に入ろっ」
「いや、入らないよ!?」
天音とそんなやり取りをしていると、美姫が俺にそっと近づくとそのまま俺の唇にキスをした。
「み、美姫しゃん……?」
「ふふふ。折角三人きりになったんですし、キスしちゃいました」
そう言って少し恥じらいながらもはにかむ彼女は滅茶苦茶可愛かった。そんなことを思っていると突然ベッドから天音が出てきた。
「美姫ちゃんだけずるい。私もするんだから!」
この後天音にもキスされました。




