#104:大会に向けて
あまりメインの話でもないのでさくっと終わらせることにします。
次回でこの陸上部の応援の話も終わらせちゃいます。
「そろそろ、終わりみたいだね。それじゃあ荷物片づけて二人と合流しようか」
「そうだな……というか本当に生徒会の仕事しないんだな」
「まぁ、こう見えて普段は頑張ってるからね」
姉さんは自慢げにそう言った。最近それほど忙しくないから、結構放課後一緒にいるんだけど。
「生徒会……って実は暇なの?」
「いやぁ、そんなこともないよ。ちゃんと活動してるときはしてるし、お悩み相談の方がどちらかといえば多いからね。書類は外部に提出するものじゃなければ……適当にね」
姉さんは舌を出して、少しあざとい声でそう言った。大丈夫なのかなぁ、この生徒会長。とはいえ生徒会選挙での生徒会長を選ぶ選挙は圧勝だったし、今年度の生徒会も評判はいいらしいので……まぁ、上手くやってるんだろう。
「あ、優君だー!」
「おう、天音お疲れ様」
俺たちがグラウンドに向かうと、天音が俺に気づいたのか小走りで俺たちの元まで来た。後ろから遅れるようにして、美姫が歩いてきた。
「天音ちゃん頑張ってましたもんね」
「うんうん、全力で頑張ったよ!」
「おう、お疲れ様」
まるで褒めてと言わんばかりにはしゃいでいる天音の頭を、そっと優しくなでた。
「あっ……えへへ」
すると彼女は恥ずかしそうに、けれども嬉しそうな表情を浮かべた。
「それで二人は何をしてたんですか?」
「うん、私たち?最初にちょこっと業務を手伝ってもらった後、ずっと見てたよ」
「あ、そうだね。優君と準備運動の時に目合ったもん……えへへ」
俺と目があった時のことを思い出したのか、恥ずかしがっている天音。可愛すぎないか?美姫は俺たちの生徒会室がある、ちょうど真下にいたらしく俺たちの方は見ていなかったんだろう。
「そうですか。それならいいです」
姉さんが俺の方を見てよくやったと言いたげな表情をしていた。流石に生徒会室でキスをしたなんて言えるわけがない。昨日のことがあってずるいということで、見ててほしいと言われたのにそんなことを知ったら大変なことになる。……あれ?実はこれって姉さんが一番得しているのでは?ふとそんなことを思ったが深くは考えないことにした。
そして数日が経ち、いよいよ天音が助っ人として参加する大会の日になった。
「いよいよだな天音」
「うん!この一週間頑張ってきた成果を全力で見せてくるね!」
天音はそう言い残すと、チームメンバーの所へと走っていった。
「天音ちゃん張り切ってるねー」
「練習中は真面目に頑張ってましたから」
姉さんがそう言うと、美姫が微笑みながらそう言った。
「あれ……美姫はこっちにいていいのか?」
「はい。天音ちゃんが参加する練習の時だけマネージャーをするっていう約束だったので」
「でもでもー。美姫先輩のことだから、男子の部員のやる気を引き出すには持ってこいだったんじゃないですか?」
小泉が少しからかうようにそう言った。
「どうでしょう?男子メンバーと活動した時間はほとんどなかったので」
「まぁ、美姫さんもそうだろうけど天音さんも可愛らしいから同じようなものだったんじゃないかしら?」
「あはは……どうでしょう?ただ、やけに意気込んでいられる方々もいましたけど」
まぁ、そうだろうな。俺だって美姫が応援してくれたら頑張る気にはなれるだろう。一応女子は午前中、男子は午後に行われるらしい。男子生徒に午後も応援してほしいと頼まれたがやんわりと断ったらしい。
「そーれで。美姫さんもそうですけど、明日香先輩もいるから男子生徒の応援団がチラチラとこちらを見てくるんですね」
小泉が面倒そうな表情を浮かべてそう言った。
「いや、多分茜ちゃんも入ってると思うけどなー」
「わ、私ですか?いや、それはないと思いますけど……どう思います先輩?」
小泉は俺にそう聞いてきた。小泉は俺のことを普段からかってくるけど、それさえ除けば普通に美少女なんだよなぁ。
「うん。入ってると思うよ」
「ふええっ!?うぅ……恥ずかしいです」
俺がそう言うと、小泉は顔を真っ赤にして俯いていた。




