#101:アクセサリー
101話目です。昨日分(100話,101部分)からは投稿画面で二ページ目に表示されるんですね。知らなかった。
俺たちは近くにある雑貨屋へと向かうことにした。放課後だからそれほど長い時間は取れないことと、折角ならアクセサリーとかを見に行きたいという三人の意見によるものだ。
「さて、優君着いたみたいだよ」
「ああ、そうだな。姉さんはここにはよく来るのか?」
「そうだね。結構私はここで買うことは多いかなぁ」
姉さんは結構ここに買い物しに来るんだなぁ。美姫や天音の買い物に付き合わされることはよくあるんだけど、それでもここは来たことがないから二人もここは知らないのかもしれない。
「へぇ、この店は知らなかったわね」
「私もです。でも結構店舗数あるんですね」
「先輩先輩、滅茶苦茶アクセサリーありますよ」
「確かに色々あるけど可愛すぎて……私には似合わない気がするわ」
「そんなことないよ。渡会だって十分可愛いと思うけど」
実際彼女の顔たちはすごく整っていると思う。他人にも厳しい性格から若干近寄りがたいところはあるものの、話してみると実際は真面目というだけで嫌味ったらしい性格でもなければ、むしろ人一倍他人想いだと俺は思う。
「なななっ……何を言っているの月田君」
「いや、そんなに驚かなくてもいいじゃん。渡会はかわいいよ」
「そ、そうかしら」
渡会は少し恥じらうようにそう言った。
「あ!これとかどうかな優君?」
姉さんはそう言うと、可愛らしい猫のアクセサリーがついたヘアゴムを見せた。姉さんが猫のヘアゴムをつける。
「うん、似合うと思うよ?」
「本当に?それじゃあ、これにしよっと」
姉さんはヘアゴムを大事そうに抱きかかえた。
「うーん私はこのサクランボのやつとか可愛いと思うなぁ。どう思いますか瑠璃先輩?」
「そうね……確かにあなたには似合うんじゃないかしら?」
「ふむふむ。どう思いますか先輩?」
「うん、似合ってると思うよ」
「貴方本当にそう思ってるのかしら?」
渡会が横からジト目で少し棘のあるような声でそう言った。確かに、いいと思うという言葉しか言ってないからなぁ。まぁ、でもちゃんと理由はある。
「うん。小泉の桃色の髪をより可愛らしく見せるなら、チャームポイントは似たような色の、可愛らしいものがいいかと思って。それだと目立たないから。ただ全く目立たないのもあれだから、少し色の濃い赤い色のサクランボのアクセサリーはいいかな……ってどうかしたのか?」
「いえ……そこまで貴方が考えているのは驚いたわ」
「先輩よくそんなことまで考えてますね」
二人は驚いたような表情で俺のことを見てきた。流石に色々と口をはさみすぎて、気分を害してしまっただろうか。
「あはは。優君は小さい頃から、美姫ちゃんと天音ちゃんの服選びとか手伝わされてたからねぇ。実はある程度そういうのに詳しかったりするんだよ」
姉さんが俺のことをフォローを入れてくれた。何故、自慢げに言っているのかは分からないけど、彼女の言っていることは本当だ。
「……というか自慢げに言ってるけど、姉さんもその一人だからね?」
「優君の美的センスを確立させた功績者の一人と言ってほしいかな」
姉さんはからかうようにそう言った。まぁ、確かに美姫や天音や姉さんに買い物に突き合わされたりしなかったら、こんなこと言えなかっただろうけど。
「そ、それじゃあ。私のも選んでほしいわ」
「おう、任せとけ。えっと、そうだな……こんなのはどうだ?」
俺は渡会に、小泉に渡したのと似たようなもので、サクランボではなくペンギンのアクセサリーのついたヘアゴムを手に取って彼女に見せた。
「へぇ、可愛いじゃない?折角月田君が選んだし、これを買ってみようかしら?」
渡会は手に取って少しの間見つめると、すぐに買うことを決めていた。三人分まとめて俺が買ってあげることにしたんだけど、三人とも喜んでくれているようだった。




